田舎の庭に生っている柑橘系の大きな果物。
「これって八朔だよね・・・?」と尋ねても、応えてくれる人はもう、そこには誰もおらず、
「ああ、そうだった」と独りつぶやいて、途方に暮れる私・・・。
熟しつつある果実だけが、午後の太陽を照り返して、なんだか物言いたげな様子でした。
座り込んでいると、エノコログサやススキの間から、「リー、リー」と虫の音が聞こえました。誰かを呼んでいるようなその声に、鬼籍に入った人たちのことを、静かに思う。
やることは山ほどあり、私は前を向いて歩いて行かなければならないのだけど。