新国立劇場の『トゥーランドット』

舞台を象徴したようなスタイリッシュなポスター

「オペラ夏の祭典」で、東京文化⇒新国立⇒びわ湖⇒札幌と回っている『トゥーランドット』。

現在は札幌を残すのみ。

私は新国立劇場の初日を観に行きました。

 

どのキャストも安定の素晴らしさでしたが、中でもトゥーランドット姫役のイレーネ・テオリンは、ドラマティックなのに弱音が手元まで飛んできて、アリア「この宮殿の中で」がスタートした瞬間、心を奪われました。さすがワーグナー歌手、スタミナが違います。空間全体に波動が伝わる素晴らしい演奏でした。

リュー役の中村恵理さんも健気な感じが良く出ており、リューはソプラノ・リリコにとっておいしい役だなと思いました。

 

演出については、現代演出というか、随所に読み替えがあっただけでなく、演出家独自の解釈もあったので、これは賛否両論あるだろうな~と思いながら観ていました。

しかも、私は幕切れ直前でぼーっとしていたため、ちょっと見逃してしまったところがあり、残念無念。

今回観た、無彩色のダンジョンのような美術セットも新鮮で見ごたえがありましたが、ゼッフィレッリの豪華絢爛な舞台や、チャン・イーモウの紫禁城版も忘れられず、もう一度DVDで観てみようかな、と思っているところです。

 

そして、毎回思うのですが、トゥーランドット姫のなぞなぞクイズは、王子の命がかかっている重要課題なのにも係わらず、正解を聞いても全然すっきりしない。そのうえ3問正解されても結婚を渋ったりして。カラフもカラフで、「明朝までに私の名前を当てられたら命を差し出そう」って延長戦に持ち込むのです。

「じゃあ一体何のためのなぞなぞだったんだよ!」と思ってしまう。

毎回そう思いつつも、プッチーニの壮大な音楽と、キャストの圧倒的な声にやられてしまい、「まあいいか」ということになるのですが(笑)

 

昔はネット配信なんて無かったわけですから、イタリアに居ながらにして、プッチーニはなぜ「中国な感じ」が出せたのだろう。

途中まで作曲して亡くなったプッチーニですが、最後はどうしたかったんでしょうね・・・。