先週末は久しぶりに、ホントに久しぶりに、お香の会に参加しました。
この日のテーマは「宇治山香」で、喜撰法師の
わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり
がテーマになっていました。
百人一首でも有名な、古今集に入っている和歌ですが、喜撰法師については生没年など詳しいことは不明。
謎の人物。
会ではまず、試香で、主題に沿って紐づけられた5つの香りがたき出されました。
香りを聞きながら、イメージを広げていきます。
例えば「わが庵は」では「どんな庵なのか」とイメージしてみる。
イメージの仕方は自由ということだったので、庵も含めた周りの風景を思い浮かべてみました。
そうすると、庵は暖かく静かな場所で、ひとりだけれど決して寂しくはなく、ほっこりするような陽だまりがあり、春には菜の花が咲くような場所だなあ、と何故か思ったのです。
同じようにして、他の4つの香りもイメージを広げていきます。
「都のたつみ」に紐づけられた香りは、少し草の香りがし、草の間から見えるのは夏空でした。何故そう思うかは自分でも分かりませんでした。
「しかぞ住む」に紐づけられた香りは、仏間のようなところで静かに瞑想する僧の姿がありました。
本香では5つのうち1つがたき出されるので、それを回答しますが、当たったかどうかより、それまでの思考過程などを楽しむもののようです。
当たらなくても良いと言われましたが、それでも当たると、単純に嬉しいものでした。
最後に参加者全員で、感じたことなどをディスカッションしました。
同じ香りに対しても、ひとりひとりが違う感じ方をしていて、面白いものだなと思いました。
文学と香りを結びつけるという体験も新鮮でした。
お香の後は、茶話会となりました。
手をアルコール消毒したので、せっかく手に付いた香木の高貴な香りが飛んでしまい、ちょっと残念でしたが。
和菓子は、表参道の菊家さん特注の上生菓子で、この日の和歌がモチーフになっています。
なんて繊細な作りなんだろう。
コロナ禍になってから、日本の文化や芸術に、改めて目が向くことが多くなったかもしれません。