年が明けて二週間

年が明けて一週間後、東京にまた緊急事態宣言が出されてしまった。

1月8日の夜の渋谷は、金曜日だというのに随分と人が減り、20時過ぎだというのに、23時くらいの感じだった。

そしてさらに一週間。

在宅勤務では出来ない仕事も多いことが分かったので、結構出社している。

会社帰りにはコンビニとドラッグストアーしか開いていないことも多い。
飲食店の灯りが消えている道を歩いて帰ってくるのは寂しい。

 

でもそんなことは言っていられないのだ。

知り合いの知り合いくらいで、コロナに感染して大変だった人の体験談を耳にするようになった。

実感の無かったものが急に現実味を帯びてくる。

改めて、気をつけなければ、と思うのだけれど、これ以上何をどうすれば良いのだろう。

 

1~2月に行われるはずだった友人たちの舞台やコンサートは、時間変更や延期に。

やはり冬に計画するのは危険だったということか。

 

毎日気持ちがザワザワして、何だか落ち着かない。

 

そんな中、合間を見て、アーティゾン美術館(昔のブリヂストン美術館)に行ってきた。

所蔵作品の中で心惹かれたのは、3~4世紀頃にシリア付近で作られたとされるガラス工芸たち。オリエントのガラスと呼ばれているらしい。

 

柔らかな光と色を眺めていると、何千年も彼方にタイムスリップできるような気がする。

現在までには数え切れない厄災があり、戦争もあっただろうに。

今は遠く離れた異国の美術館で、静かに光を放っているガラス瓶たち。

 

茶道教室に掛けられていた書の言葉も、いつになく心に響いた。

「関 南北東西 活路通(かん なんぼくとうざい かつろつうず)」

炉開きの11月と新年を迎えた時によく飾られるものらしい。

「関」は関所を指していて、ここさえ通り抜ければ東西南北どこへでも自由に行ける、というような意味。

そうだ、私たちはどの道も選択できる。

 

大丈夫、きっと乗り越えられる日が来る。

地球上で起こったことは地球上で解決するに違いない。