久々の松濤美術館。
舟越桂氏の「私の中にある泉」を1月31日までやっているのだ。
チラシを飾っている「水に映る月蝕」を見て心惹かれ、是非とも行きたいと思っていた。
題名の付け方も素敵だと思う。
舟越氏の彫刻作品に使われている木材は楠で、初期は眼も同素材だったようだが、途中から眼球のみ大理石が使われ始め、その光は不思議な力を帯びている。
初期の作品にはモデルがいて写実的なのにもかかわらず、どこか抽象的な感じがする。素朴で静かで理知的な雰囲気の人物ばかりなのだが、皆何か物言いたげである。
後半からは、手が背中から生えたり、人間と動物の両方の特性を持っていたりと、異形の姿を取るようになってきた。
しかし、この表現によって何かが解き放たれたようである。
災害後の虚無感、戦争への怒りなども、作品に盛り込まれるようになってきた。
舟越桂氏本人だけでなく、家族の描いたものもあった。芸術家の一家なのだ。木の切れ端で作ったオモチャも展示してあった。
帰りは、神泉にある「ターンテーブル」という徳島県の食材を使ったレストランに立ち寄ってみた。
県産の野菜が丁寧に調理され、おしゃれな空間で提供されていてびっくりである。
ドレスアップした郷里の友人に会ったような気がした。
朝食やランチ、テイクアウトもやっているみたいなので、また来てみようかと思うのだった。