このところ腹の立つことが多く、あまり精神的に芳しくない日々だった。
発端は、特定の人物に対しての些細なことからだった。
いつもだったら「あの人ならしょうがない」と諦められるはずだったのに。しかし今回は、こちらの精神状態が凹んでいたため、仕事の合間や夜寝る前にその人から受けた過去の仕打ちなどをつらつらと思い出し、イライラしてミスをしたり、クヨクヨして眠れなかったり、ロクなことにならなかった。
挙句の果てに、残高不足で自動改札が通れていないような、何の罪も無い市井の人々のちょっとした行動にまで腹が立つようになってしまい(笑)、これはもうダメだなと思う。
他人を変えるのは難しい。
10代20代の頃は、文句があるときは相手に直接文句を言いに行っていた。
私の「正しい」が相手の「正しい」と異なることも多いから、分かってくれることもあれば、話が平行線のままのこともある。
でも、高校や大学の同級生は、意見が違うことはあっても「ちょっと何言ってるのか全然分からないんですけど」というようなことはなかったと思う。
社会に出てからは、相手が目上の人だった場合など、思ったことをそのまま伝えても、かえってこじれるケースも発生するようになり、その辺は慎重に対処するようにしている。
こう考えることにした。
「人間同士、話せば分かるのではないか」と思うから、腹が立つのだ。
「この人はもしかしたら、別の星から来た宇宙人かもしれない」と思うことにするのだ。
大学時代の友人とか、音楽仲間とか、特に工夫しなくてもコミュニケーションが成り立つ人ばかりと一緒にいると勉強にならないから、神様が学びの場を与えたのだ。
それでも腹が立つときは立つ(笑)
モヤモヤした気分のまま、オペラ鑑賞に出かけたら、なんと隣の席に20年来の友人が座っていた。
待ち合わせをしたわけでもないし、すごい偶然である。
何公演もやっているので、たまたまその日時に、こんな広い会場で、隣同士になるなんて確率はどんなものだろうか。
彼女に愚痴を聞いてもらったら、少し気が楽になった。
やはり人は知り合うべくして知り合っているのかもしれない。
特に何も解決したわけではないのだけれど、苦戦していることも、意味があることだと信じたい。