第39回東京玉翠会はオンラインだった

私は昼間はマーケティング・リサーチの会社に勤めているのだが、新型コロナが流行り始めてからというもの、打ち合わせはオンライン、というのがめっぽう増えた。

そしてオンライン打ち合わせは、圧倒的にZoomが多い。設定が簡単だからだ。

 

高校の同窓会である東京玉翠会は、昨年は新型コロナのせいで中止になってしまった。

今も得体の知れないウイルスである新型コロナは、あの頃はもっと正体不明のウイルスだったから、ホテルの大広間に1,000人以上集まる同窓会なんて言語道断で、中止で当然である。

しかし今年は、なんとオンラインでやるという。

Zoomのようなものを想像していた私は、1,000人くらいの人がどうやって話し合うのかと思って、気が遠くなった。

 

使われたのはZoomじゃなくてSpatial Chatというものだった。

ツールの画面上の距離がそのままお互いの会話の距離になる、新しいツールであるという。

何だかさっぱり分からなかったが、試してみないことには良いんだか悪いんだかも判断できないから、参加してみる。

 

当日が来て、パソコンでアクセスすると、入り口で受付の人に声をかけられた。誘導されて、自分の学年の部屋(?)に案内される。このようなバーチャルな部屋が学年ごとにたくさんあって、小さな円で表示された「自分」の分身は、マウスを動かすと部屋の中をうろうろする。

他の学年の先輩に挨拶したいな~と思ったら、その学年の部屋をクリックすると、一瞬で飛べる。

実際に歩くよりは体力を消耗しない(笑)

オンラインは省エネなのである。

 

友達とおしゃべりするには、小さな円で表示された「自分」の分身を「相手」の分身に近づけると、話ができる。

何人かで近づくとグループでの会話も成立し、離れると会話がだんだん聞こえなくなり、すごく離れると全然聞こえない。ああこれが「ツール上の距離がお互いの会話の距離になる」ということか。

なかなか面白いツールだと思う。

 

同窓会を企画した後輩たちはすごいと思ったし、新しい試みに挑戦する意欲は尊敬した。

オンラインであったとしても、やらないよりやったほうがずっといい。

普段は会えないような、高松にいる同級生の話も聞けた。

今この状況で考えられる最善の策が取られていた、と思う。

 

でも、二次会まで残るような気持ちには、私は残念ながらなれなかった。

やっぱり、人間同士はお互いに会って話をしたいよね、と思いつつ、一方では、これからは対面とオンラインの併用になっていくのかもしれないな、と思う。

 

それは仕事でやっている市場調査も似たようなものだ。

何かに固執していては取り残される社会になっていくのだろう。