伊丹から京都へ回ってきた

10月に入り、やっと緊急事態宣言が解除になった。

10月7日夜には関東地方で地震があるなど、新型コロナ以外にも不安なことは起こるものだけど、やりたいことは合間を縫ってやるしかないし、行きたいところには工夫して行くしかない。

 

地震の次の日、知人の出演するオペラを見るために伊丹まで行ってきた。

500席くらいの、良く響く感じの良いホールで、1階席はほぼ満席だった。

舞台には2段に設営された大き目の台だけがある。そこを中心に照明によって場面の違いを表現する、というシンプルな演出だった。

合唱は人数を抑えてあり、キャストどうしも距離を取り、触れる可能性のある場面では手袋をするなど、感染症対策にはかなり気を遣っているようだった。

練習中も抗原検査を毎日行っていたとのこと。

 

見ながら、「コロナが落ち着いたとしても、舞台は完全に元通りというわけにはいかないだろうな」とぼんやり考えていた。

オペラ公演は、ただでさえ準備の段階から予想外のことが起こるというのに、これにコロナ対策まで加わるのかと思うと、運営する側としては気が遠くなりそうである。

全員が揃って本番が迎えられるためにはどれだけのハードルがあったことだろうと思うと、無事にこの日が迎えられた主催者や出演者に敬意を払うと同時に、とても羨ましくもあった。

 

あくる日は、京都に出向き「風俗博物館」に向かった。

「源氏物語」や「枕草子」「竹取物語」の装束を、実物の約4分の1でお人形に着せて展示してある。

先日の「香の会」で、「砧を打つ」というテーマが取り上げられ、この風俗博物館が話題に上っていたので、是非とも行ってみたいと思っていた。

布を叩いて、柔らかくしたり皺をのばしたりするのが「砧」というものらしく、和歌にも詠まれている。

今は「アイロン」っていう便利なものがあるんだけれど。

平安時代の装束は優雅で、文様や色合いも飽きない博物館だった。