歌う冬の日

練習中の楽譜たち

2021年の冬至は12月22日。

あっという間に冬至を過ぎてしまった。

年内にもう本番はないので、来年の演奏会に向けて、曲を仕上げているところである。

(あ、年末にオーディションがひとつあるけれども。)

一昨日もピアニストさんと一緒に、ある会場で稽古。2時間ほどで終わったので、受付に行くと、「予約のお名前を見て、今日は良い声が聴けるなあ、なんて喜んでいたのですよ」と言われてびっくりした。

そんなふうに思ってくれている人がいるなんて。人に聴かせることを想定して練習していなかったので、ちょっと恥ずかしかったが、嬉しかった。

新しい施設は完全防音になっているところもあるが、昔ながらの会場はそうなっていないのだ。

そういえば以前も別の練習場所で、警備の人から「良い声が聴けた。自分は音楽のことはよく分からないのだけれども、以前に海外でオペラハウスに行ったことがあって、その時みたいな感じだった」と声をかけられたこともあった。

 

どんな状況であるにしろ、聴いた人が少しでも幸せになれるなら、なんと嬉しいことだろう。

もちろんオペラは声の良さだけで勝負できるわけでもないので、発声とか、ディクションとか、音楽づくりとか、解釈とか、歴史的背景とか、演技とか、容姿とか、・・・もう考えただけでも気が遠くなるほど、いろいろな要素が必要なんだけれども・・・。

 

所詮、この声も、身体も、神様からの借り物だと思う。

私の努力だけでどうにかなるようなものでもない。

でも努力をし、研鑽は積まなければならない。

そして時が至れば、いつかお返しするときが来るのだろう。

それまでの間、自分を幸せにし、周りの人も幸せにすることができるなら。

 

夜が長い日々、年末が近いから既に振り返りモードに入っているのか、静かにこんなふうに思っているところ。