3月に入ってからは公私ともに何だか悶々とする日々が続き、やたらと日にちだけが過ぎていった。
そんな中でも、友人のコンサートに行ったり、出演もしていない他所のコンサートに打ち上げだけ参加してみたり(笑)、会社に仕事に行ってみたり、家で調べ物をしてみたりと、目の前のことを淡々とこなす日々。
そうこうしているうちに蔓延防止が解除されて、夜飲みに行けるようになった。
こういう普通のことが出来なかったのだ。コンサートの1ヶ月後に打ち上げとか、あれは別の飲み会だと思った(幹事さん、すみません。あれはあれで楽しかったんですよ・・・)。
そして月末を迎え、久々に四国に帰った。
高松市内を歩き回り、土地と自分を繋いでみる。
昔見た風景、昔住んでいた場所。
随分変わってしまったけれど、それでも面影はあって、そういう自分のルーツのようなものと時々は触れ合っておかないと、自分の根っこが揺らいでしまいそうな日々だった。
高校時代の同級生たちが、夕食を一緒に食べてくれ、歓楽街に連れて行ってくれたw
次の朝、泊ったホテルの部屋からは、朝日の昇る屋島が見え、高校時代の校歌を思い出した。
築港まで行き、ぼんやりと瀬戸内海を眺める。
世の中にいろんな海があるけれど、私はやっぱり瀬戸内の海が好きだ。
その日会った方から渡された手土産は、「木守(きまもり)」で、偶然にもうちの両親が好きな和菓子だった。「木守」とは、晩秋の柿の木に来年も豊かに実るよう祈願し、ひとつだけ残された柿の実のことだ。その名を取ったお菓子は、柿餡と和三盆を使った上品な和菓子である。両親は県外から来た客人によくこれを出していた。
徳島に移動する列車の中で、そのことを思い出し、しばらくひとりで泣いていた。