2023年が暮れていく。
紅白歌合戦をつけっぱなしにして、掃除したり片づけしたりする。
いろいろ言う人はいるけれど、紅白が豪華なお祭りであることには変わりはなく、どのパフォーマンスも華やかだし、まさかクイーン&アダム・ランバートが聴けるとは思わなかった。エレファントカシマシの歌は昔から私を元気づけてくれるし。
ここから「ゆく年くる年」へと続く時間は、新しい年への切り替えとして、しみじみと1年を振り返る時間になるのだろう。
終わってみれば、それなりに良い1年だった。
報われない出来事もあったけれど、これが何かのきっかけになったり、ターニングポイントとなったりするのだと信じよう。
12月2日は、夏から稽古を重ねてきたオペラ『ドン・カルロ』の本番があった。
大好きなヴェルディの重厚な音楽に浸れた日々は幸せだった。
エリザベッタは初役だったけれど、今の私には精一杯くらいどうにか歌えたかなと思っている。
怖いので、録画はまだ見ていないけれど・・・(笑)
字幕の方からいただいた写真に、4幕のアリアで周りがフォンテンブローの森になっているシーンがあり、きれいだなと思った。シンプルな舞台だったけど、主催者やスタッフの思いがいっぱい詰まった舞台だったんだなと思う。
『ドン・カルロ』で想定以上に燃え尽きてしまい、そのあと気が抜けたのか風邪をひいてしまった。どうにか体調を持ち直して21日にはけやきホールで15分ほど歌った。
帰りにピアニストさんやお客さんと代々木上原で打ち上げができ、ちょっとした忘年会気分になった。
23日は新しくできた麻布台のクリスマスマーケットに。
うんと昔、フランクフルトでイブの日のクリスマスマーケットに行って赤ワインを飲んだことをぼんやりと思い出した。また海外に行けるのだろうか。
私は自分の人生をしっかり生きなければ。
1ヶ月も前の話になりますが、やはり私にとって大切なイベントだったので、記録しておきます。
10月26日【生田流正派創始百十周年記念演奏会】平井秀明先生の指揮する『冨嶽』(初演)に合唱のエキストラで出演させていただきました。
初NHKホール!
初NHKホールの楽屋!
お話をいただいた時はイメージがつかめなかったのですが、お琴は100面、合唱も60名以上。舞台上も、舞台から見える景色も、舞台裏の装置みたいなのも、それはそれは壮観な眺めで、圧倒されました。
お琴や尺八の音色は、私たち日本人にとって郷愁を誘う音色。これはDNAに刻まれているのかもしれませんね。
邦楽の人間国宝の方々の演奏も間近で聞くことができました。
楽屋でいただいたお弁当も全部美味しかった!
私のような者を「唄の先生」として温かく接してくださったことにも感謝です。
このような華やかな記念行事に参加させていただいたこと、大切にしたいと思っております。
6月最後の金曜日の30日。
イブニング・コンサート@ロイネットホテル西新宿、無事に終了しました。
雨の日でしたが、カフェはほぼ満席!
アットホームで良いコンサートになったなぁと思います。
お店の方がお料理を丁寧に手作りし、盛り付けしていらっしゃる。その様子を裏で目撃し、皆で成功させようとしているのがひしひしと伝わってきて感激です。
加藤優穂さんのクラリネットの無伴奏ソロでスタート。
器楽が入ると、コンサートに変化と厚みが出ます。
平井秀明先生のソフトな語り口での楽しいお話も、お客様を和ませてくださっていました。
私は、「オンブラマイフ」、『トスカ』のアリア、ガーシュインの「サマータイム」、イタリア歌曲の「忘れな草」など、よく知られていそうな曲をソロで、「ホフマンの舟歌」や夏のメドレーを、もうひとりのソプラノの吉見真帆さんと歌いました。
吉見さんはいろいろな「アヴェマリア」を、天使のような声で歌われていました。
コンサートはとても盛り上がりまして、アンコールリクエストを2曲もいただきました。
『椿姫』の「乾杯の歌」は用意してあったのですが、もう1曲は急遽「ふるさと」を皆で演奏しました。焦りましたが(笑)こういうのもまた楽しいものです。
お客様と懇親会もできて、またこういうことが少しずつできるようになったことに感謝です。
今年もあっという間にもう後半に入りました。
3月3日の「オペラ『トスカ』と室内楽の夕べ」無事に終わりました。
もう6日も前のことだけど。
御礼のメールを出したり、衣装を返したりしているだけで、どんどん日にちが経ってしまって・・・。
本番が近づくと、頭の中で、やらなければいけないことと出来ていないことが、ごちゃごちゃ、ぐるぐるになりまして、時間がいっぱい欲しいような、いや、勢いで早く終わって欲しいような、楽しいような、苦しいような、毎日複雑な気分でした。
「なんとかなる、なんとかならないかもしれないけど、なんとかするのだ!」と自分に言い聞かせながら頑張りました。
コンサートの構成としては、前半の室内楽はピースフルな音色で癒されてほしく、後半のオペラではサスペンスドラマで興奮してほしいわけでした。
今回はナレーションの台本も書きました。オペラを初めて観る人にも分かりやすくなるように、なおかつ『トスカ』が単なる恋愛ドラマで終わらないように、政治的な背景を織り込むなど工夫しました。
本番の日に至るまでいろんなことがありましたが、とにかく予定通り公演が出来て、本当に良かった。もう、これに尽きます。
リハを聞きながら、舞台袖で何だか泣きそうになってしまいました。
いかん、いかん、これから本番なのに、と思ったりして。
今回は最終的には、私の「推し」の人ばかりをお願いできましたので、個人的にも大満足です。
第1部~第2部を通して、良い音、良い声、音楽的な表現も素晴らしい方たちばかりなので、「一番幸せなのはそばで聴いている私かも」と思ったりしていました。
第2部のオペラは、練習でご一緒していましたので、特に強い思い入れがありました。
カヴァラドッシには華やかでかつ革命家なので芯の強い声、スカルピアには悪の要素があるけれど身分の高い人なのでノーブルな深い声、の方をお願いできました。
ピアノの河崎恵さんは、練習会場に置いてあるヤマハの古いアップライトからオーケストラの音を紡ぎ出せるツワモノです。
私の取り掛かりが遅かったため、最初は演奏会形式を予定していましたが、演技がつき、お客様にも楽しんでいただけたのではないかと思います。私たちも楽しかったです!
今は、共演者、スタッフ、全ての人にありがとうを言いたいです。
来てくださったお客様もありがとうございました!
年末年始は忙しくて落ち着かなかった。せっかく買ったTVガイドも、ついに1ページも開かないまま放置状態である。
年末から手掛けてきた調査の報告会が先日終わって、ようやく年が明けた気がする。
大好きな「ヒューガルデン」を飲みながら、「おめでとう」と静かにお祝いした。
気が付くと1月も20日を過ぎてしまっていた。
3月3日の「オペラ『トスカ』と室内楽の夕べ」の準備にかからなければ。
曲も仕上げなければならないが、今回は主催なので事務作業もしなければならない。
思えばここ数年、続いたコロナ禍のために、自分で企画することができなかった。
やりたい気持ちと尻込みする気持ちが引っ張り合いになった数年間だった。
今回の企画も、挫折しそうになる私を周りが何度も励ましてくれて、どうにか今がある。
皆、よく見捨てないでくれたなと思う。
昨日、会場となる渋谷区文化総合センター大和田に、チラシを届けに行った。
ここに来るのも久しぶりである。
安田侃氏の「帰門」を通り過ぎながら、昔の公演を振り返る。
私も多くの人と知り合うことができたけれど、出演者たちもまたそこから新しいつながりができて、別の公演で指揮を頼んだり、キャスティングしたりしているようだ。
そういう話を聞くとなんだか嬉しくなる。
人と人をつなぐことができた。それだけでもやってきた意味があるんじゃないかなと思うことにしている。
今の私は、夜明け前のような、ちょっとワクワクした気分である。
27日は、ごく少人数のお客様限定で、小さなサロンコンサートを開催することができました。
アンコールも含めて10曲ほど歌い、簡単にお話もしました。
「曲にまつわるお話を入れながら、ミニ・リサイタルっぽくコンサートをする」というのは今までほとんどやったことがなかった。自分でも意外。
会場の照明を落とすのも忘れて明るいままコンサートをしてしまい、初めてのことが多くて焦っていたのだなあ、と後から思いました。
「お世話になっている方が老人ホームに入居される」ことになり、「そうなるとこのご時世、自由に外出もできないかもしれないから、その前に私たちでコンサートにご招待しよう」と考えた、というのが今回の企画の始まりです。
終演後の懇親会では、差し入れのワインやチーズ、手作りケーキなどをいただきながら、お客様との楽しい時間を過ごしました。
多様な業界の方たちから直接聞くお話は興味深いものばかりでした。
コロナ禍に入ってから、なかなかコンサートを企画する勇気がなかったけれど、小規模なサロンコンサートならどうにかできそう。会場ややり方を工夫すれば、バリエーションも考えられそう。新しい発想を与えてくれた機会に、感謝です。
ホームに入居されるご当人からは「これが最後の音楽会、と思って来たけれど、こういうことがあるなら、あと10年は長生きしようと思う」とのコメントをいただき、開催して良かったなと思いました。
今年は26日まで昼間のリサーチの仕事でめちゃめちゃ忙しくて、サッカーもクリスマスもなんだか遠い世界のことだったのですが、私にとっても遅いクリスマスプレゼントのような1日になりました。
もう一週間以上経ってしまいましたが、10月30日には外苑前の「梅窓院・祖師堂」にてコンサートに出演しました。
平井秀明プロデュース「“みんなで楽しむ、クラシック!” in 青山」。
西新宿のガルバホール登録アーティストによる演奏会ですが、今回はガルバホールを飛び出して、外の会場で新しいお客様にも聴いていただこうという企画です。
梅窓院は平井秀明さんのおじいさまの平井康三郎氏が眠っている寺院でもあり、そのご縁でこの企画が実現したのだと伺いました。
外苑前にこんなホールがあるの、全然知らなかった・・・。
建築はサントリー美術館や根津美術館を設計した隈研吾氏だそうです。
和のテイストを取り入れたすっきりとモダンな外装です。
ふだんはお寺の催し物に使われているのでしょうか。それにしても良い感じの広さです。
椅子を300席並べてもゆったりしているという話で、入っているピアノも確かベヒシュタインでした。
客席の床が絨毯だったので、声が吸われてしまうのでは、と心配になりましたが、全然そんなことなくて、器楽も歌も良い響きで、お客様と楽しい時間を過ごさせていただきました。
私は『蝶々夫人』や『アドリアーナ・ルクヴルール』のソロ曲の他に、皆で童謡メドレーなんかの重唱もしたのですが、中声や低声を歌うのもハモっている感があって意外と面白かったです。
作曲家の平井康三郎氏は高知県の出身で、「スキー」や「とんぼのめがね」「ゆりかご」などの、教科書に載っているような童謡から、管弦楽や室内楽、校歌まで、たくさん作曲した方です。
子どものころから歌っていた曲を作曲された方のお孫さんと、こうやって一緒に音楽活動をさせていただいているなんて、なんだかとても不思議な気がします。
この日の青山は良く晴れていて、気持ちの良い一日でした。
多くの人と知り合い、多くの体験をさせていただいていることに、感謝しました。
日曜日のガルバホールの演奏会から、もう5日も経ってしまいました。
日にちが経つのは早いなぁ~。
5/22は、3時間弱の公演が、午後・夜の2公演!!
その前にリハーサル、そして演奏会後には打ち上げもあったわけですから、なかなかハードでしたが、音楽からも客席のお客様からも、たくさんのパワーやエネルギーがもらえた嬉しい1日でした!
5日間経った今でも、何となくその幸せ感は続いていて、コンサートに出られて良かったなぁ、としみじみ思っています。
私は、日本歌曲は平井康三郎氏の「平城山」、オペラアリアは『道化師』から「鳥の歌」、『イル・トロヴァトーレ』から「穏やかな夜」を歌わせていただきました。ピアノの他にヴァイオリン、フルート、クラリネット等が入ってくださったので、響きの良いガルバホールのことですから、まるでオーケストラみたいな、とても贅沢な響きに。器楽の加わった演奏は、私のお客様にも大好評でした!
器楽単独の曲も、何度か聴いているうちに、好きな作品が何曲もできました。
特にクラリネットの二重奏、メンデルスゾーンの演奏会用小品第2番ニ短調作品114は、いつも楽しみに聴いていました。
ここのプロダクションは、平井康三郎氏のお孫さんである平井秀明先生の監修の下、練習時から皆でコンサートを作り上げていく、という方針みたいで、最初はお互いに知らない間柄なので、若干戸惑いました。
しかしこれで、他の奏者の演奏からインスピレーションをもらうことも多くなり、それは声楽どうしのこともありますが、他の楽器だったりすることもあるわけです。
この日は遅くなったので、打ち上げは飲み物を持ち寄り、隣のインド料理店からビリヤニやサモサを取ってもらって、ホールでしました。
こういうアットホームな感じも嬉しい。
そして演奏会後のビールがうまい(笑)
お客様に聴いていただいてコンサートするのはやはり楽しい。おかげさまで元気をもらえました。
今日はコンサートの最終稽古だった。
思えばこの1ヶ月半くらい声が自由にならず、歌う気にならない日々が続いていた。
ここにきて、ようやく戻ってきた感じ。
明日予定どおりコンサートに出られるのなら、それが許されるなら、何も考えず、ただただ歌うことだけに専念しよう。
どんなに人生が思うようにならなくても、片づけなければならない用事が山積みでも、明日だけは全て忘れて、ただただ演奏しよう。
今回のプロダクションは丁寧に練習をさせてくれて、とても贅沢だった。
明日は午前中リハーサルで、午後と夜の2ステージが本番。
長丁場だけど、ちょっとワクワクしている。
このような機会を得られたことに感謝しよう。
明後日はルーテル市ヶ谷でコンサートだ。
「ホールが開いている限り、なんとか工夫して、コンサートはやろう」と大阪の師匠と覚悟は決めていたものの、オミクロン株の陽性者数がどんどん増えている間は、気が気ではなかった。
メンバーからも問い合わせが来る。
できるの?どうなの?やっていいの?
現在の東京はオミクロン、少し減少傾向。
この時期は雪も降ったりするから、お天気も要注意だ。それもどうにかクリアできそう。
出演者の中でアメリカからなかなか帰国できない人がいて心配したが、その人も元気に帰ってきた。
その他、細かいことも含めると、何だかいろいろあったような気がするなぁ・・・。
コンサートやオペラをやっている時はいつもそうなのだ。
ダンジョンに仕掛けられているトラップや宝箱をひとつひとつクリアしながら進めていく、ロールプレイングゲームのようだ。しかも攻略本は売っていない。
そして、やっとここまできた。
明後日は予定通りいけば、本番だ。
ホールで演奏できることは幸せである。
ホールは楽器だと思う。明後日のルーテル市ヶ谷は、歌うとどんな感じなんだろうか。
ソロの曲も楽しみだけど、師匠と歌う重唱も超楽しみである。
本番でしか得られない高揚感もある。
こんな時期なので、たくさんのお客様に声をかけることは出来なかったけれど、それでも新規で来てくださる方もいて、ちょっとワクワクする。
新規の方からさらに新しいご縁が広がっていったりもする。
大変な中、飽きもせずこんなことをやっている私は、やはり音楽が好きで、それを届けたいのだと思う。
1月22日土曜日の午後は、すみだトリフォニーで「Raffiné New Year Gala Concert」でした。
私たちは小ホールだったのですが、大ホールでは佐渡裕さん指揮、反田恭平さんのピアノという、新日本フィルのすごい演奏会が!(聴きに行った人によると実際すごい演奏会だったそうです)
ミーハー根性で、大ホールの人たちに会えないかと思っていたのですが、楽屋口からの動線がそもそも違うのでした・・・残念(笑)
それでも同じ場所で同じ時間帯に音楽をしているんだと思うとテンションが上がりました。
小ホールは252席とこぢんまりとして歌いやすく、響きもとても良いホールです。
リハーサルをしていると、音が隅々まで染み渡っていくようで、「ホールで歌えるのは嬉しいことだなあ」としみじみ幸せな気分になりました。
当初、出演者は6人の予定でしたが5人になり、私の直前の方は伴奏ピアニストが変更になっていました。本人が新型コロナでなくてもご家族等が濃厚接触者になったり、その他やむを得ない事情があったりして、舞台に立てないことはあります。
そう考えると、この日この時間に演奏できるということは、それだけでも貴重なこと。
コンサートに出演するほうもですが、聴きに来るほうにとっても、です。
生の演奏は、本番では思いもよらないことが起こったりもしますが、それも含めて「かけがえのない体験」。本番を経ることによってしか身につかないことも、たくさんあると思います。
一旦収束に向かったかに見えた新型コロナですが、オミクロン株の出現によって、また様々な制限が出てきてしまいました・・・。
コンサートもどの時期にやるかが賭けで、昨年11月~12月くらいにできた公演は、ある程度収まっていたときだったので(感染症対策はしているものの)普通にやっていて、逆にこれから2月3月の公演は開催自体を協議しながら進めないといけない、ということになってしまいました。今だと宣伝はしにくい。でも延期したとしても、そこが必ずしも現時点より良いとは限らない。悩ましいところです。
すみだトリフォニーから錦糸町までの帰り道では、スカイツリーが良く見えまして、22日の夕方は、江戸紫と金色を基調にした「雅」でした。
スカイツリーのライティング情報によると毎日変わるらしい。
2月24日もすみだトリフォニーには、また演奏に来る予定です。
2021年の冬至は12月22日。
あっという間に冬至を過ぎてしまった。
年内にもう本番はないので、来年の演奏会に向けて、曲を仕上げているところである。
(あ、年末にオーディションがひとつあるけれども。)
一昨日もピアニストさんと一緒に、ある会場で稽古。2時間ほどで終わったので、受付に行くと、「予約のお名前を見て、今日は良い声が聴けるなあ、なんて喜んでいたのですよ」と言われてびっくりした。
そんなふうに思ってくれている人がいるなんて。人に聴かせることを想定して練習していなかったので、ちょっと恥ずかしかったが、嬉しかった。
新しい施設は完全防音になっているところもあるが、昔ながらの会場はそうなっていないのだ。
そういえば以前も別の練習場所で、警備の人から「良い声が聴けた。自分は音楽のことはよく分からないのだけれども、以前に海外でオペラハウスに行ったことがあって、その時みたいな感じだった」と声をかけられたこともあった。
どんな状況であるにしろ、聴いた人が少しでも幸せになれるなら、なんと嬉しいことだろう。
もちろんオペラは声の良さだけで勝負できるわけでもないので、発声とか、ディクションとか、音楽づくりとか、解釈とか、歴史的背景とか、演技とか、容姿とか、・・・もう考えただけでも気が遠くなるほど、いろいろな要素が必要なんだけれども・・・。
所詮、この声も、身体も、神様からの借り物だと思う。
私の努力だけでどうにかなるようなものでもない。
でも努力をし、研鑽は積まなければならない。
そして時が至れば、いつかお返しするときが来るのだろう。
それまでの間、自分を幸せにし、周りの人も幸せにすることができるなら。
夜が長い日々、年末が近いから既に振り返りモードに入っているのか、静かにこんなふうに思っているところ。
まず茶道では、風炉から炉の季節に。
11月は、茶道でいうところの「お正月」なので、華やいだ、ちょっと正式な気分になる。
照柿のような色の色無地を着て、半年ぶりの炉の濃茶を点てに行った。
軸は「開門 落葉多」。
「聴雨寒更尽 開門落葉多」(あめをきいてかんこうつき、もんをひらけばらくようおおし)の後半部分で、意味としては「雨の音を聞きつつ寒さに震えながら、山の中で一夜を過ごしたが、夜が明けて門を開いてみると、見渡す限り落ち葉に覆われていた。雨だと思ったのは落ち葉の音だったのね」みたいな感じ。
晩秋の静かな情景ですね。今でいうとソロキャンプみたいなやつかな~(謎)
二つ目は家の障子の張り替え。
以前は自分で張り替えたりしていたのだが、今回は業者さんに頼んでみた。
障子のところだけ、お正月が来たみたいに、すっきり明るくなった。
本格的な寒さが来る前に、いろいろキレイにするのは良いかもしれない。
三つめは来年2月の自主企画コンサートの準備。
私の主催する団体のではないけれど、今まで培ってきたノウハウが役立ちそうなので、協力を申し出た。もちろん私も出演します。
「演奏だけに集中できる」という点では、音楽事務所からご依頼をいただくのはラク。
しかし今回みたいに、企画段階から関わって構築する自主企画には、別の楽しさがある。
大変なことも多いけれどね・・・。一緒にやる人しだいかな。
既に会場が取れている、ということなので、先日ご挨拶と下見に行ってきた。
少し古いけれど、雰囲気のある会場で、場所も都心で便利だし、そんなに広すぎも狭すぎもせず、声楽向きだと思う。
ピアノのリサイタルを聴きに何度かお邪魔したことがあるが、響きも良かった。
ステージ上には、今の季節ならではのクリスマスツリーがしつらえてあり、「ここでクリスマスコンサートもいつか企画してみたいな」なんて思うのだった。
よし、少し元気になってきた。
できる時にやっておこう。
この時期にこういう話が来るのは、神様の「やってみたら?」で、オススメなのだ、たぶん。
先週ファイザーの2回目を打った。
数日間だるさや眠気はあったものの、発熱は無かったため、「これくらいの副反応だったら、年1度くらいのワクチン接種なら、余裕でいけるかも」と思っているところです。
そんな矢先、「ファイザーの抗体は3ヶ月後に4分の1になる」だのいう記事が。
(それでも高い予防効果はあるそうです。そのあたり、もっとしっかり言ってほしい。)
どのくらいの間隔で追加接種することになるのだろう。
そのうちファイザー5回目とか6回目とかいう日が来るのだろうか。
まあ、コロナもワクチンもわからないことだらけだし、2回目まで終わっていない人がまだまだたくさんいるわけだから、先のことを考えても仕方ないよね・・・。
ワクチン打った後、だるくなっただけではなく、やたらとお腹がすくような気がする(謎)
発熱に備えて、スポーツ飲料の他、すぐ食べられる食料や冷凍食品、アイスクリームなどを買い置きしてあったので、発熱しなかったけれどそれらを次々食べている。
体重が1キロくらい増えてしまった。
なんでもかんでもワクチンのせいにしたらいけないんだけど。
先週は、昔からお世話になっているピアニストの前田勝則さんがリサイタルを開くというので、豊洲シビックまで出かけて行った。
スクリャービンの「幻想ソナタ」やラヴェルの「クープランの墓」、ショパンの「スケルツォ」といった洗練されたプログラム。
熟練した演奏者の生の音楽は、細胞ひとつひとつに染み渡る気がする。
ホールの舞台背面に見えるレインボーブリッジなどの夜景と相まって、都会の夜をドライブしているような、浮遊しているような、素敵な音楽の夜だった。
昨晩は旧東京音楽学校奏楽堂(上野)で「第1回エルピス声楽フェスティバル」が開催されました。
「エルピス」ってギリシャ語で「希望」っていう意味なんですって。
七夕も近いので、私は「星」や「月」に因んだ曲を選ばせていただきました。
ドビュッシーの「星の夜」、別宮貞雄の「天の川」、マスカーニの「月」、ドヴォルザークのオペラ『ルサルカ』より「白銀の月よ」の4曲です。
言語は4曲全部違いますが、どれも思い入れのある曲で、それぞれの世界観が気に入っており、できれば訳詞を読んで欲しいくらい。
狙ったわけでもないのですが、6月25日は満月で、ストロベリームーンというのだそうです。
私のリハーサルは午後4時くらいからで、その後しばらく時間ができたので、上野公園内をふらふら散歩してみました。
新緑がまぶしく、空気が清々しい。
ちょっとした森林浴気分も味わえます。
噴水のそばまで来ると、赤や白の花が植えられていて鮮やか。
いろんなことがあるけれど、嬉しいことだけカウントして、今は何も考えず、ただただひたすら歌おう。
本番がスタートすると、あっという間にプログラムは進み、終わってしまうのが何だかもったいないような気がしました。
ピアニストは、音も感性も信頼している大野美和さんです。
目標を持って一緒に練習できた日々は、貴重だった。
ドレスは曲のイメージに合わせて、私はミッドナイトブルー、大野さんはダークグリーンを選びました。
コンサートは本番からしか学べないことがたくさんある、といつも思う。
お客様の温かい拍手に支えられ、無事に本番を終了することができました。
久々の、充実感のある演奏会になりました。
このコンサートには、旧知の仲である切敷さんとピアノの高久さんも出演していて、楽屋で会うとホッとしました。
本当は打ち上げをしたかったけれど、「まん延防止等重点措置」でお店が閉まっており、またの機会に、と諦めました。
人と会って話すのは楽しいなと思ったし、また自由に打ち上げられる日が来るといいな。
演奏会用のドレスって、汚れたら皆クリーニングに出しているのだろうか。
私は普段は、本番が終わったらしばらく吊るしておくだけ。
そしてたま~に、ホントにたま~にだけど、自分で手洗いしている。
私の洗い方は、バケツとかバスタブとかに中性洗剤を少し溶かした洗濯液を張り、そこにドレスをバサッと入れて押し洗い。水を2~3回くらい換えてすすいだら、終わり。脱水はしない。
朝洗ってそのままバスルームに干しておくと、夕方にはだいたい乾いている。
ドレスの重みでシワが伸びるので、アイロンもかけていない。
時々色落ちするドレスもあるので要注意だし、キラキラのスプレーを吹き付けたようなデザインのは、洗うとキラキラが取れてバケツの底に沈んでいたりする(笑)
でも、ポリエステル生地で出来ていて、ビーズがいっぱい付いたようなドレスはだいたいこの洗い方でいけている。
女声重唱の時に重宝している白のドレスは、4月の本番の時も着たけれど、裾が汚れていたので洗った。
ついでに、夏の本番に着られそうなライトブルーのドレスも洗った。
さっぱりと洗い上がったドレスを見ながら、嬉しくなったりするんである。
今週末は久々の奏楽堂。
本番があって、それに向けて準備できるのは幸せなことだ。
どのドレスを着ようかと悩んだり、本番のシミュレーションを頭の中でしてみたりするのは、ドキドキするが、ワクワクもする。
1年前から2度に渡って延期されてきた服部和彦先生の作曲個展ですが、4月27日ついに催行されました。
東京は4月25日から3度目の緊急事態宣言に入ってしまい、なぜこのタイミングで?とハラハラしましたが、やっても良いことになったようです。
23区内の公共ホールはほとんどダメだろうと予想していたので、ちょっと驚きましたが、出来て良かった。
お客様はいつもより少なかったものの、割と入られていましたし、せっかく演奏する以上は誰かに聴いてもらえないとつまらない。
私たちは「いちめんのなのはなⅡ」(初演)を女声6人とフルートで演奏しました。
大きなホールで歌うと、とても綺麗な演奏だったみたいです。
皆衣装は白。
歌っている側からネタばらしをすると、途中までかなり完璧だったのですが、最後のほうで1小節乱れてしまい、それだけが心残りです。
言わなきゃ分からないんですけどね・・・。
でも、そういうのも含めて、生の演奏の良さなんじゃないでしょうか。いつも同じ演奏が良いのなら、AIに演奏してもらったら良いのです。
演奏しているほうも聴いているほうも、ハラハラするのも音楽の良さです!(笑)
他には、器楽のソロや朗読、オーケストラなんかもあってバラエティに富んでいたので、現代音楽に馴染みのない方でも楽しめたのではないでしょうか。
演奏時は、マスクの下に「マスクの骨」みたいなのを、紐を付けて着けてみました。
これで、大きく息を吸っても口に張り付いてこないので、呼吸が改善。
しかし、マスクをして歌うのは不便ではあります。
「あの時はマスクして歌ったんだよね~」と思い出になる日が早く来ると良いですね。
先週末まで、上野を中心に「東京・春・音楽祭」、略して「東京春祭」が行われていました。
目玉として、指揮者のリッカルド・ムーティ氏が来日し、約2週間に渡ってワークショップやオペラ公演、コンサート等を行いました。その様子は現場ではもちろんのこと、オンラインでリアルタイムに観ることもできたのです。
東京が緊急事態宣言に入る直前のことで、今思うと、この状況下でマエストロが来日できたことも奇跡、毎日公演ができたことも奇跡に近い。
今回取り上げられたオペラは、ヴェルディの歌劇『マクベス』です。
日本人キャストだけの組と、主要役が外国人キャストに代わる組があり、まず作品解説を兼ねた、日本人キャストの公開レッスンからスタートしました。
その後、オケや合唱のリハーサルの様子、そして本番のオペラ公演(今回は演奏会形式)まであったのですが、マエストロ・ムーティの音楽作りや指揮を体感できる、すごい企画だと思いました。
ヴェルディの他のオペラも取り上げてほしいです~。
ムーティの熱烈なファンである友人は、全てを現場で観るために有給を取って休んだと言っていました。
オタク過ぎでは・・・。
私はそういうわけにもいかなかったので、見られる時間帯のみ、原則オンラインで自宅で観ることにしました。
以前音楽仲間の家を訪問したとき、スマホから「JBLのスピーカー」に音を飛ばしていて、なかなか良い音だった。私もあんな感じでパソコンから飛ばしてみようかと。
うちにあった小さいスピーカーを、部屋の真ん中の照明器具にぶら下げたら、音が広がって、ちょっとしたコンサートホールみたい(笑)
想定以上の臨場感になったので、それを聴いて、楽しく最初の数日間を過ごしました。
リハーサルも後半に入り、外国人キャストが加わったころ、音楽仲間から連絡があり、「凄く良いから、本番は是非実演で聴くべき」と言うのです。しかし、スケジュールが。
この時はまだぐずぐずしていて、4月19日のオペラは事前に申し込んであったオンラインで聴くことにしました。
結果、オンラインで聴いても公演のクオリティや熱量がひしひしと伝わってきて、特にマクベス夫人役のアナスタシア・バルトリは声も表現力も素晴らしく、大器を感じさせました。
どうしても生の音で確かめたくなり、4月21日は万障繰り合わせて、東京文化会館へ。
アナスタシアはもちろんのこと、どのキャストも素晴らしく、オケもマエストロの指揮にぴったりついていて、弱音まで美しかったです。
やはり生の音は良いです。波動に身をゆだねることができるので、高揚感が半端なくて、わざわざ来て本当に良かったと思いました。
後々まで仲間と語り合う、歴史的公演のひとつになったんじゃないかなと思います。
脳が興奮したのか、その日は当然、なかなか寝付けませんでした。
4月22日のモーツァルトの交響曲は、オンラインで聴きました。
ムーティ指揮のオケを、自宅でご飯を食べながら聴けるなんて、なんと贅沢なことだろう。
しかも2,500円。
オンラインでもちょっと工夫すると、クオリティが上げられることが分かったので、要研究です。
でも、私はオーディオオタクでは無いので、ちょっと良くなったくらいで充分嬉しいのだと思いました。
いろいろ発見のあった春祭でした。
先週の金曜日は、4月27日本番の六重唱の合わせでした。
服部和彦作曲個展は、2020年の4月にすみだトリフォニーの予定だったのですが、10月に杉並公会堂に延期、さらに2021年の4月に再延期されたのです。
何度も延期になってしまい、主催の国際芸術連盟さんも大変。
今回はやっと公演できそうなので、リハーサルが始まりました。
個人的には・・・1年延びたからといって、自分のパートだけで細々と練習していたので限界があり、仕上がっているかと言われるとそうでもない(汗)
私たちの歌う「いちめんのなのはなⅡ」は初演だそうで、音もリズムもなかなか難しい(難)
練習もマスク、本番もマスク、で歌わなければならず、大きく息を吸い込むとマスクが張り付いてきたりして、なかなか歌いづらい(汗)
この時期、お客様も呼びにくいし、来ていただけるお客様にもホワイエでご挨拶ができない(悲)
このようにいろいろな困難はあるけれども、本番があるのは嬉しいことです。
見知った顔、初めての顔、音楽仲間にも会えた。皆元気で良かった。
目標をひとつにする人達と音楽を作り上げていく過程は、純粋に楽しい。
自分だけで練習していたパートが、パズルのピースのように嵌って、音楽が立体的になっていく。
今回は重唱だけれど、皆ソリストとしても活躍していて、良い声の人達で、そういう人達と同じ空間や時間を共有できることは貴重だと思う。
今週金曜日にもう一度合わせがあって、次は本番です。
一面に菜の花が咲いていて、空にはうっすら月が出ている、そんな幻想的な光景を思い浮かべよう。
本日は田園調布の音楽スタジオまで出向き、日本とイタリアを結ぶオンライン・マスタークラスを受けてきました。
講師は世界の歌劇場で活躍するソプラノのバルバラ・フリットリ氏。
バルバラにお会いするのは、三年程前に東京でレッスンを受けて以来。
前回知り合ったコレペティの宮川さんが音楽協会を設立され、今回も是非にと声をかけてくださいました!
海外どころか国内すら自由に行き来できない今、オンラインであっても、このような機会に恵まれるということはとてもありがたいことです。
やり方としては、バルバラと宮川さんはそれぞれ別々にイタリア、私とピアニストさんは一緒に居ないと音楽がずれちゃうので東京のスタジオです。
ピアニストさんは今日初めてお会いする方で、普段は新国立劇場にいらっしゃるということでした。
私が持っていった曲は、『トスカ』のアリア2曲(1幕の「私たちのあの小さな家に行きたくないの?」2幕の「歌に生き、愛に生き」)と『シモン・ボッカネグラ』の「暁に星と海は微笑み」です。
何回も歌ってきた曲なのに、間違わないように譜面にしがみついてしまい、情けない…。
暗譜はしてるんですよ、一応。
バルバラの音楽作りは、譜面に忠実で正統派。
オンライン越しとはいえ、細かいところまで良く注意していただき、充実のレッスンでした。
「声もとても良いしテクニックもあるのだから、もっと表現してほしい」と言ってくださったのが、励みになりました。
表現を深めるためにも、バルバラの止まらない楽しいおしゃべりをさらに理解するためにも、イタリア語をもっとやらなくちゃ。
それにしても、すごい時代になりました。
新型コロナで出来なくなったことも多いけれど、オンラインで広がった可能性もあります。
会社勤めをしていると、まとまった休みを取ってイタリアまで声楽レッスンに参加するのはなかなか厳しい。そういうのが少しだけカバーできる気がする。
コロナ騒ぎがおさまったら、イタリアの素敵な湖のほとりなんかで、いつかレッスンを受けてみたいですけどね…。夢かな。
オンラインなので、聴講の人もたくさんいらしたみたいです。
誰が聴いているんだろう、と途中まで恥ずかしかったけど、まあコンサートなどでは平気で歌っているわけだし、歌い手ってそういう自分をさらけ出す仕事なんですよね…。
いろいろ言い訳していますが、自分で受けるのは何より勉強になりましたし、総じて良い一日でした。
昨晩は、内幸町ホールで現代歌曲の本番でした。
「風が・・・」を歌わせていただきました。「風」を題材にした和歌はたくさんありますが、古今和歌集の3首について服部会長が曲をつけられた歌曲です。
そういえば、現代歌曲をやり始めたばかりの頃、この「風が・・・」も歌わせていただきました。あの頃は譜面を追いかけるのに精一杯で、音もところどころ怪しくて、表現まで頭が回らなかったなあ。楽器は歌&フルート&ギターだったかと思います。
今回は、同じ曲を歌&フルート&ピアノです。先週、先々週と2回合わせがあり、フルートとピアノのお二人のことも少し分かって、曲の読み込みも前回に比べるとかなりの進歩です。
丁寧にさらう時間もあり、おかげさまで本番では私なりに充実した演奏を終えることができました。
お客様が少なくてちょっと残念でしたが、東京ではコロナの陽性者も増えてきているので、仕方ありません。コンサートが開催されただけでも感謝です。
仕事帰りの友人たちが駆けつけてくれて、少人数でのプチ忘年会もできました!
前日にチャコットで舞台用の靴を新調しました。今まで7センチの社交ダンス用のヒール靴を履いていたんですが、足の甲がビリビリしてしまって。
ネットで調べると「中高年の女性に多い」とか書いてあってトホホな感じです。
今回は少し低めのダンスシューズに変更。
チャコットは社交ダンス用品の取り扱いを来年2月でやめるらしく、ダンス館も閉店するとのこと。時代の流れでしょうか・・・。いろいろなものがセールになっていました。閉店してしまう前にもっと何か買おうと決心する私。
今年一年で急激に変化した世の中。
来年はどんな年になるのでしょう。
先週は京都に行ってきました。
妙心寺桂春院で声楽コンサートがあり、知り合いの方が出演されたので、GoTo京都も兼ねて見に行ったのです。
コンサートは夕刻から行われたので、それまでは妙心寺の中を見て回りました。
それにしても、妙心寺は広い!
大きなお寺の多い京都の中でも、半端なく広いのです。
石畳で結ばれた寺町には46もの塔頭があるということで、公開されている場所を5ヶ所くらい回っただけで4時間近くかかってしまいました(汗)
「退蔵院」では庭を観たり、お抹茶とお菓子をいただいたり。
ここのお菓子は、「瓢鮎図(ひょうねんず)」(瓢箪でナマズが捕まえられるか、という禅宗の謎かけの水墨画)にちなんだ特製和菓子。
季節によって、中に入っている果物が違っているそうです。そういうのも楽しみのひとつ。
次の、「法堂」と「大庫裏(おおくり)」はガイドさんに案内してもらいました。
法堂の天井画になっている狩野探幽の「雲龍図」がどうしても観たかった。
四方八方どこから見ても龍の眼はこちらを睨んでおり、大迫力です。
写真を撮れないのが残念でしたが、とにかく実物は最高に良かった。
大庫裏はお寺の台所で、200人分ものお食事を作ることのできる鍋釜とそのシステムを見せてもらい、古の食事に思いを馳せました。
「大法院」では、お庭と紅葉を楽しみながら、またまたお抹茶とお菓子をいただきました。
ここのお菓子は栗ようかん。
どこもお抹茶がちょうど良い感じに点てられていて、さすが京都のお寺だと思いました。
このあたりで、そろそろ着付けをしなければならない時間となり、急いでホテルに向かいました。あんなに余裕を持って出てきたはずなのに、着付けがバタバタになるのが謎(困)
「桂春院」に向かうころには日もとっぷり暮れて、降っていた雨も上がり、「着物でお寺のコンサートに行ってみる」という目的もどうにか果たせて、充実した一日となりました。
ライトアップコンサートは、テノール3人の迫力の歌声と楽しいトークを堪能することができ、庭の紅葉も美しい!
お寺とオペラというのは意外と違和感のない取り合わせで、開け放しているので換気も良かったです(笑)
もっと寒くなるとどうなのかはわかりませんが。
茶人・藤村庸軒好みの「既白庵」という、隠し部屋のような茶室も見せてもらえました。かつては、修行の身である僧が詩歌や茶道を嗜むのは禁じられていたため、外から分からないような造りになっているとか。
オペラも茶道も同時にお寺で楽しむことができる時代なんて、貴重なのかもしれません。
先週のコンサートでは、終演後お客様にロビーでのご挨拶ができませんでした。
ホールのガイドラインに沿っているので、これは仕方ない。
でもやっぱり、会える人には会いたいよね、ということで、別の日にご飯を食べに行けた人もいます。
まず、麹町の鰻屋。
純和風の造りで、年配のご夫婦や近隣の会社の偉い人なんかが、静かに鰻重を食べているような老舗。テイクアウトしても良いのだけれど、出来立てをその場の雰囲気と一緒にいただけるのは、やはり嬉しい。
友人と二人でしみじみと「時には外で食べたいよね」と語り合う。
毎年この時期には大学の同期と旅行していたのだ。今年は行かれない。
数日後には代々木公園のイタリアン。
心置きなく音楽談義ができる仲間たちと。
写真は、北イタリアのパスタ「タヤリン」にポルチーニのソース。「タヤリン」は細い平打ちのパスタで、ソースがよくからんで美味しい。
他に食べたお料理も、秋の訪れを感じさせてくれて、ちょっとした旅行気分になった。
そして次は横浜へ。
台風でコンサートに来られなかった友人と飲茶(料理の写真無し)。
コンサートの報告やら何やらで、あっという間の時間。
みなとみらいの観覧車は相変わらずキラキラしていて、街全体が未来都市みたいだった。
こうやって人と会っていってつくづく思うのは、コンサートって単に生の音楽を聴く場所というだけでなく、社交の場所だったんだなと。
いつもよりお洒落をして出かけたり、客席で久しぶりの人と会って休憩時間におしゃべりしたり、コンサートの前後には待ち合わせてお茶を飲んだり、食事をしたりする。
「帰るまでが遠足です」じゃないけれど、全部ひっくるめてコンサートだったんだなぁと。
だから、それが無くなると私たちは寂しいんだと。
9月6日、サントリーホールブルーローズにて、2020年度「国際芸術連盟音楽賞」の受賞記念コンサートが無事に終了しました。
当日は、大きな台風が九州に近づいており、その影響を受けて関東地方も雨風の強い時間帯があったのですが、コンサート前後はどうにかお天気がもちました。
私も元気で舞台に立つことができ、近隣のお客様を中心に、来られた方には聴いていただくことができたのです!
とにかく実現できて良かった!
もうこれだけで充分なのですが、ちょっとだけその日の話を書きますね。
開演前に、20分ほどの短い舞台上リハーサルがあり、久々にホールで歌ってみた私は、感激すると同時に、ホールの響きに自分の声を調整しなければならないことに気づき、大変焦りました(汗)
練習場所がずっと狭い空間だったため、感じ方がだいぶ違うのです。
本番までにはどうにか調整し、ホールの隅々まで声が行き渡る感覚が戻ってきましたが、「時々は広い空間でも歌ってみなければいけないな」と思った次第です。
また、コロナ禍の中でのコンサートは、来るお客様にもそれなりの覚悟が要りますが、陰で支えるスタッフさんたちの苦労も、並々ならぬものがありました。
通常業務に加えて、消毒作業などのコロナ対策業務がいっぱいあるのです。
こんなにたくさんの人たちの協力を得て、整えられた環境で歌える私は何と幸せなんだろう。
でも、こんな対策をしなくても普通に安心してコンサートができる日が戻ってきてほしい。
歌っている間は、その一瞬一瞬が大切です。一曲一曲キャラクターの違いが出せるように、心を込めて歌いました。
伝わっていますように。
舞台上からはお客様が見えるのに、終演後のロビーでご挨拶することは禁じられていました。残念でしたが、これもコロナ対策のため、仕方ありません。
しかし。コンサートの次の日、渋谷をぶらぶらしていたら、なんとお客様のひとりにばったり遭遇!
テレビ局時代からの友人で、まさかこんなところで会うとは、とお互いにびっくりです。
世間話をすることもでき、コンサートの感想も直接聞くことができ、勇気が出ました。
この1ヶ月半は、伴奏者の阿部智子さんに励まされつつ、久しぶりに真剣に音楽に向き合うことができた、楽しくも貴重な日々でした。
コロナ禍の鬱々とした世界で目標を見失いそうになっていた私ですが、もう少し頑張ってみようかな、と思いました。
2020年度「国際芸術連盟音楽賞」の受賞記念コンサート、ついに明日に迫りました。
ホールで行うコンサートに出演するのは、なんと昨年12月の「第九」以来。
同時受賞のピアノの森本加奈さんと半分ずつのコンサートになります。
歌う日常からすっかり離れていた約4ヶ月間。
途中までは、もしかしたらこのコンサートも延期になるんじゃないかと油断していましたが・・・。
6月半ばになってからようやく決めたプログラムですが、初めての曲も含めて、私の大好きな曲ばかりで構成してあります。
前半はどこかに「花」が入っている曲を中心を集め、後半はプッチーニとヴェルディのオペラからアリアを歌うことにしました。
いつか「月」をテーマにした曲のコンサートもやってみたいのですよね。余談ですが。
ところで、コンサートやオペラを実現するには、数多くの試練があります。ロールプレイングゲームでいうと、経験値を上げながら、いくつもの関門をくぐり抜けて魔王の城を目指す、みたいな。
一緒にパーティを組んでいる戦友は、共演者だったり伴奏者だったりするのですが、今回は伴奏ピアニストの阿部智子さんになりました。
いつもは昼間の仕事がギリギリまであるため、急激に熱量を上げてのバタバタの本番もあるのですが、今回は自粛期間の関係もあってか、プログラムが決まってからは阿部さんと比較的ゆっくり合わせができました。
練習の過程で得るものは多く、自粛期間というのも悪いことばかりでは無かったなと思っています。
しかし、お客様にどこまで声をかけるのかは大変迷いました。
結果として、あまり宣伝できなかったかな・・・。
今はただでさえ「新型コロナ」という大きな障壁があるのに、その他にも気を配らなければならないことが数多くあり、さらに数日前からは「台風」まで加わるという・・・。
ホントに明日コンサートは出来るのでしょうか。
舞台に出て行ったら、私はどんな気持ちになるのだろう。
ここ数ヶ月で、世の中はすっかり変わってしまいました。
日本だけではなくて世界中が。
こんなことってあるのだろうか。
東京は、3月後半から週末2回の外出自粛を経て、4月8日には緊急事態宣言へ。
最低限の外出の他は、原則家で過ごさなければなりません。
東京都の累積感染者数は4千人を遥かに超えました。
5月4日には緊急事態宣言のさらなる延長が決定。
コンサートやお芝居をバンバンやっていた年末までとは、全く別の世界になってしまった・・・。
会場が満席のお客様であふれていたのが懐かしい。
本当に無防備に、私たちは、舞台を、音楽を、楽しむことができていたのです。
もう二度と、あんなことは無いのかも。
コロナ以前とコロナ以降で、少なくとも舞台芸術の世界は歴史が変わってしまった、と思います。
オンラインで出来ることもあるかもしれないし、これからは模索していかなければならないのだけれど、私はやはり生の音楽を伝えたいし、生の音楽を聴きたい。
4月と5月に入っていた何本かの本番は、全て中止(または延期)となりました。
特に、念願のタイトルロールを歌う予定だった『トスカ』の中止は残念でしたが、練習場所が使えなくなったことや、緊急事態宣言が出されたことを考えると、中止で良かった。
延期してもいつ沈静化するかは予測できない。私たちがやるような小さな会場でのオペラは、沈静化してもすぐ出来るとは限らないからです。
今は、清潔で安全な毎日が送れること、食事と睡眠が適切に取れること、で精一杯。
音楽活動どころではないです。
そういえば、ここ1ヶ月以上、全く歌っていない。
音楽が無いと生きていけない、歌っていないと生きていけない、とずっと思ってきたけれど、そうでもなかった。
人間は意外とどうにでもなるのです。
普通に生きてはいける。
でも、それで果たして良いのだろうか。
自分はいったい何者で、何のために生きているのだろう。
新型コロナウイルスのせいで、大変な世の中になってしまったけれど、短期間で本当に多くのことを学び、考えさせられました。
当たり前に思ってきたことが、実は有難いことであったことも。
ここ1ヶ月くらいで、世間の状況はすっかり様変わりしてしまいました。
新型コロナウィルス騒動、もう疲れましたよね・・・。
2月くらいからずっと、「ここ1、2週間が正念場です」と言われ続けて、収まらない。
これは簡単には収まらないと思います。
最初のころはめちゃくちゃ閉塞感がありましたが、何だかだんだんこの状況に慣れてきました。
幸いなことに、今のところどうにか日常生活は送れているし、水道の水で手が洗えて最低限の感染予防はできています。
贅沢は言っていられない。
この環境の中で、自分が出来ることをするしかありません。
3月は周りでコンサートやイベントがほぼ全滅となりました。
私は、4月上旬に参加予定だった徳島でのコンサートの中止が決定。
正確には6月に延期らしいのですが、同じメンバーで集まることはなかなか難しいでしょう。
残念ですが、今回は中止で良かったのだ、とホッとしている自分がいることも事実。
徳島の親戚や知人などには高齢者が多く、何かあったら大変だから誰も呼ばないでおこうか・・・と秘かに思っていたのです。
というわけで、まぼろしのコンサートのチラシ写真を載せておきます(涙)
イタリアなど、もっと大変なところもあるのだと思うと、出掛けられているだけありがたいのかもしれません。
疫病が流行った時に仏像を建立した、昔の人たちの気持ちがよくわかる。
いずれにしても、この事態の終息を願うばかりです。
12月25日は「第九&ソロイスツ」でした。
第1部はソリストによるガラコンサート、第2部は室内楽アンサンブルと合唱が加わり「第九」の第1楽章と第4楽章を演奏しました。
昼過ぎに集合し、リハなども順調に進んで、私は会場や練習風景の写真を撮ったり、差し入れのお菓子を食べたりして、のんきに過ごしていました。
ところが、開場してみると、主催側に何かの読み誤りがあったらしく、来客数が定員をオーバー。かなりのお客様が座れないようでした(汗)
開演時刻が遅れ、主催者側からはお詫びと説明があり、一部のお客様には途中から舞台上(!)で鑑賞していただくなどの対応が取られました。
開演前はだいぶ混乱してハラハラしましたが、演奏が始まると徐々に会場の雰囲気も落ち着いていったようです。
私が『アドリアーナ・ルクヴルール』のアリアを歌いに舞台に出て行ったときには、温かい空気に包まれていました。
豊洲のシビックセンターホールは、壁面の一部がガラス張りになっており、シャッターを開けると東京の夜景が見えるステキなホールです。
日本に数台しかないという、イタリアのファツィオリ社のピアノが入っています。イタリアから来た、明るい響きのピアノと一緒にイタリアオペラのアリアを歌えるのも嬉しい。
2曲目は『蝶々夫人』のアリアを歌いました。
ハプニングのせいでむしろ出演者の結束は強まり、「お客様にご不便をかけた分、楽しんでいただこう」という気持ちが高まりました。
練習が2回しかなかったので、オケや合唱の人とは話す機会がほとんどなかったのですが、ここで一気に打ち解け、「何が幸いするかわからないものだな」と思いました。
2部の「第九」はオケも合唱もソリストも、今まで以上の集中力でした。オケや合唱は少数精鋭で、小編成とは思えないくらいのクオリティと迫力だったんじゃないかと思います。
第4楽章が終わった途端、たくさんの「ブラボー」が会場に飛び交いました。
なんだかホッとしました。
あのときの高揚感を思い出すと、今でもワクワクして、「歌わせていただいて良かったなあ」と思うのです。
日本の冬にはあちこちで耳にする第九ですが、私は第九を聴くたびにこの日のことを思い出すでしょう。
今年のクリスマスは、忘れられないクリスマスになりました。
12月1日は、歌仲間の平松さんのお別れの会でした。
私たちのオペラでは必ず、客席から「ブラボーーー!」と声をかけてくれていた平松さん。
今年の6月も『フィガロの結婚』を観に来てくださっていた。
闘病されていたことは知っていたが、あれが最後になってしまった・・・。
会場には、壁一面に生前の映像が映し出され、そこには歌っている平松さんがいる。
『魔笛』のパパゲーノはコミカルに、『仮面舞踏会』のレナートはシリアスに。
『道化師』のトニオの前口上なんて、これから本当にオペラが始まりそうだ。
でも、ご本人はそこには居ない。
いや、きっと来てくれていて、一緒に歌っているはずだ、と思う。
お洒落で、博識で、食べることが好きで、楽しいことが大好きだった平松さんにふさわしく、会場は大盛り上がりだった。
「翼をください」を全員で歌いながら、私は涙が止まらなかった。
人はいつか死ぬ。
身近な人が亡くなるたびに、時間には限りがあることを思い知らされる。
私は悔いなく生きることが出来ているだろうか。
平松さんが描いた絵を焼き付けたマグカップを、帰りにいただいた。
これは『魔笛』の最初のシーンだ。
昨晩は12月25日の第九の初稽古でした。
第九は合唱で歌ったことがあるけれど、ソプラノソロは初めて。
以前から是非やってみたかった演目です。
自分ひとりでは何回も練習したつもりでしたが、他のソリストさんと合わせたり、合唱の皆さんが入ると、ドキドキしてしまいました。
ああ、強気な性格になりたい・・・。
どんな合わせもそうですが、初回の稽古が一番緊張する。
指揮者がどのくらいのペースで振りたいのか、他のソリストがどんな歌を歌うのか、他の楽器はどんな感じなのか、頭の中でどんなにシミュレーションしても、現場に行ってみないとわからないからです。
第九のソロは、歌うところは少ないのに、歌ってみると難しいし。
でも、初めてのことは楽しい。
現場に行ってみないとわからない、ということは、裏を返せば、どんな音楽になるかも組み合わせによって毎回違うということ。
ワクワクする点でもあります!
音楽の面白いところ。
合唱の皆さんは、人数は多くはないけれど、とても上手で、私も頑張らなきゃと思いました。
次の練習は、本番直前のオケ合わせ。
それまで熟成。
昨晩は、上野の奏楽堂で、現代歌曲のコンサートでした。
服部先生作曲の「恋歌~ソプラノとクラリネットのために~」を歌わせていただきました。
日中からお天気はもうひとつで、雨の中お越しいただいたお客様には感謝です。
由緒あるホールで、お客様を前に、ドレスを着て歌う本番は、背筋が伸びる思いでした。
難しい曲でしたが、私なりに精一杯歌えたんじゃないかな、と思います。
台風の余波などで参加できない方々もおられましたので、「舞台に乗って表現できた」ということだけでも、本当に有難いことです。
普段は、本番に乗れることを当たり前のように思っていますけれど、それは実は貴重なことなんだな、とつくづく思いました。
リハーサルと本番の間に美容院にセットに行きました。後ろ姿を(オペラじゃないので)お客様に見せる機会がなかったので、ここに載せておきます(笑)
ドレスは昔、着物を改造して作ってもらったドレス。
こういう曲のときは重宝しています。
クラリネットの三摩さんも岐阜からいらしていて、一緒にできて本当に良かった。
次は第九。
昨晩は、10月17日のコンサート用の合わせがありました。
私が歌う曲は「恋歌~ソプラノとクラリネットのために~」という曲で、詩は「古今和歌集」から「よみ人しらず」の詩が3編、作曲は服部和彦先生です。
☆ひとしれず思えばくるし紅の すえつむ花の色にいでなん
☆紅のはつ花ぞめの色ふかく 思ひしこころ われわすれめや
☆恋しさにわびて魂まどいなば むなしき骸の 名にやのこらん
・・・なんと情感豊かな日本語の世界!
ご一緒するクラリネットの三摩恵里さんは岐阜の方で、とても素敵な音色。
この合わせのために遠くからいらしてくださっています。
心に染み入るような深い音色は、どこか和楽器のようでもあり、二人で演奏していると、時を超え平安時代にタイムスリップしているような気がします。
服部先生の曲は、音も、曲想も、難しいものですが、どうにか歌えるようになると、この世界観をもっと表現したくなります。
不思議な幽玄の世界が上手く伝えられると良いのですが。
合わせの回数は2回でしたが、個人的にはかなり頑張って練習しました(笑)
ホールで歌うとどんな感じになるでしょうか。
また奏楽堂で歌えるのは、楽しみです。
「オペラ夏の祭典」で、東京文化⇒新国立⇒びわ湖⇒札幌と回っている『トゥーランドット』。
現在は札幌を残すのみ。
私は新国立劇場の初日を観に行きました。
どのキャストも安定の素晴らしさでしたが、中でもトゥーランドット姫役のイレーネ・テオリンは、ドラマティックなのに弱音が手元まで飛んできて、アリア「この宮殿の中で」がスタートした瞬間、心を奪われました。さすがワーグナー歌手、スタミナが違います。空間全体に波動が伝わる素晴らしい演奏でした。
リュー役の中村恵理さんも健気な感じが良く出ており、リューはソプラノ・リリコにとっておいしい役だなと思いました。
演出については、現代演出というか、随所に読み替えがあっただけでなく、演出家独自の解釈もあったので、これは賛否両論あるだろうな~と思いながら観ていました。
しかも、私は幕切れ直前でぼーっとしていたため、ちょっと見逃してしまったところがあり、残念無念。
今回観た、無彩色のダンジョンのような美術セットも新鮮で見ごたえがありましたが、ゼッフィレッリの豪華絢爛な舞台や、チャン・イーモウの紫禁城版も忘れられず、もう一度DVDで観てみようかな、と思っているところです。
そして、毎回思うのですが、トゥーランドット姫のなぞなぞクイズは、王子の命がかかっている重要課題なのにも係わらず、正解を聞いても全然すっきりしない。そのうえ3問正解されても結婚を渋ったりして。カラフもカラフで、「明朝までに私の名前を当てられたら命を差し出そう」って延長戦に持ち込むのです。
「じゃあ一体何のためのなぞなぞだったんだよ!」と思ってしまう。
毎回そう思いつつも、プッチーニの壮大な音楽と、キャストの圧倒的な声にやられてしまい、「まあいいか」ということになるのですが(笑)
昔はネット配信なんて無かったわけですから、イタリアに居ながらにして、プッチーニはなぜ「中国な感じ」が出せたのだろう。
途中まで作曲して亡くなったプッチーニですが、最後はどうしたかったんでしょうね・・・。
6月23日、オペラ『フィガロの結婚』おかげさまで無事に公演できました!
関わってくださった全ての人にありがとうが言いたいです。
稽古時間が足りな~い。
モーツァルトのオペラは場面が多すぎる~。
仕上がらないんじゃないかと心配しましたが、6月2日に通し稽古の洗礼を受けてからは、全員のエネルギーが一気に加速していったような気がします。
音楽大学もオペラ研修所も出ないでやってきた私は、今回ほとんど初めて『フィガロの結婚』を全幕勉強することになりました。
これは試練なのか、それとも恩恵なのでしょうか・・・。
暗譜も、演技も、事務作業も、スケジュール管理も大変でした(汗)
最後の2週間くらいは「とにかく、本番の日に、全員が元気で揃いますように」と神様に毎日祈るような気持ちでした。
終わってみると、良い経験になり、終わってしまうのが寂しかった・・・。
あのアンサンブル漬けの日々。
今日もまだ、フィガロロスです(涙)
「伯爵夫人はとても合っている」と言われまして、頑張ってやって良かったな~としみじみ思います。
機会があれば、またやってみたいです。
「他のキャストの方たちも役柄に合っていた」とも言われまして、プロデューサー冥利(?)に尽きるなあと。
モーツァルトは苦手かな、とずっと思っていたのですが、結構好きになりました。
そういえば、子どもの頃、存命中の父と一緒に観た最初で最後のオペラが『フィガロの結婚』だったと思います。
亡き父も応援してくれていますかね。
母の日の直前、ダイソーに買い出しに行きました。
目的は、この時期豊富になるカーネーション(の造花)。
ああ、こんなに良く出来たものが1本108円で手に入るなんて!
最近の百均ってすごいわ~。
『フィガロの結婚』の、ある場面に出てくる小道具に使う予定です。
有名なオペラだけど、やってみると本当に難しく、そしていろんな発見がある。
今まで適当に観ていたんだなあと、思い知らされる今日この頃です。
令和初日は、白金高輪のホールで森朱美先生のコンサートでした。
私は着物を着て、お花を携えて、聴きに行ってまいりました!
「あなたに捧げる日本の歌」というコンサートで、九人の方が歌われました。
出演者の方々は、単に上手いだけでなく、それぞれ自分の世界観を確立して表現されていたので、とても聴き応えがあり、勉強になりました。
曲の解説は、全てピアノの高木由雅さんがなさっていたのですが、これがまたわかりやすく、面白い!
日本歌曲の良さを再認識!
まるで、2回目のお正月が来たみたいな、5月1日。
演奏会の後も、お祝いムードの中、ピザ屋で乾杯。
6月23日の『フィガロの結婚』のチラシが出来上がってきました!
私がデザインしたものなので、中身はわかっているのだけれど。
それでも、こうやって印刷物で出来上がってくると、嬉しいし、開ける時はわくわくする。
久々に、メトロポリタン・オペラのライブ・ビューイングに行ってきました。
『アドリアーナ・ルクヴルール』は他の劇場では先週で終わっちゃってるんだけど、東銀座の東劇だけは3/7までやっていた。
この演目はどうしても観たかった~。
やってて良かった~。
どのキャストも良かったけれど、特に、主役のアンナ・ネトレプコと、恋敵のブイヨン公妃役のアニータ・ラチヴェリシュヴィリが素晴らしすぎた!
11月に『アイーダ』を観たときも思ったんですが、ネトレプコと敵対するメゾ役ができる人って限られるのではないかと思う。
ネトレプコは本当にすごかった。ドラマティックなこの役はぴったりだと思った。
マウリツィオ役は、なんでも歌えちゃうピョートル・ベチャワだった。
マウリツィオ君は、結果的に二股かけた感じになっているダメダメなテノールキャラで、それをベチャワがいい感じに演じていた。
『アドリアーナ・ルクヴルール』はマイナーなオペラみたいで、あまり上演されないけれど、私は結構好き。
もっとやったら良いのに。
幕間のインタビューで誰かが言っていたように、アドリアーナは大スターがやらないと様にならないみたい。メトでも、レナータ・テバルディやモンセラート・カバリエ、ミレッラ・フレーニなど、そうそうたるプリマドンナがこの役を演じているそうです。
今回のはドラマ感が半端なく、「オペラを観たな~(嬉)」っていう興奮と充実感で、帰りの雨も気にならなかった。
3月3日は、市谷柳町にある加賀町ホールで試演会でした。
今回の試演会の目的は2つあって。
ひとつは、6月のオペラに向けて『フィガロの結婚』の2幕と4幕のフィナーレ部分を演奏会形式でかけてみること。
これだけでも、40分もあるんです!
もうひとつは、勉強中の重唱をお客様の前で演奏し、聴いていただくこと。
出演メンバーが思い思いの重唱を持ち寄って披露しました。
私は『フィガロの結婚』では伯爵夫人のパートを、重唱では『ルクレツィア・ボルジア』のドン・アルフォンソ(バス)との二重唱、『アイーダ』のアモナズロ(バリトン)との二重唱をさせていただきました。
モーツァルトからベルカント、そしてヴェルディ後期へ。
モーツァルトのオペラはあまり経験がなく、苦手意識があったのだけど、だいぶ歌えるようになってきたかなあ。
でもリズムに乗り遅れたりして(困)、まだのびのび歌えていない気がします(汗)
しかも楽譜(ベーレンライター版)が重すぎ、譜面台がグラグラするので、手で押さえながら歌う羽目に。
早く暗譜しなくちゃ・・・。
重唱の2曲は初披露でしたが、どちらも好きな曲で、全力投球で歌わせていただきました!
加賀町ホールは、試演会で使うにはもったいないようなホールで、響きも雰囲気もとても良いので、また別の本番でお願いしてみたいです。
裏方や場内アナウンスもやったので、バタバタしていたら、写真を撮り忘れました・・・。
顔見たら、つけまつげも忘れてた!(笑)
・・・というわけで、この日に着ていたドレスと、手元のプログラムの写真を。
昨日は、清澄白河の深川江戸資料館で「野崎紀さんを偲ぶコンサート」でした。
一昨日もリハーサルで行ったので、2日連続で清澄白河。
思い出を少しばかり。
野崎さんは、若い頃は官庁の仕事で海外赴任もされた切れ者と聞いていましたが、私が知り合ったときは既に70代。
切れ者で怖いといった印象は全くなく、歌好きで、超博識のご尊老であった。
本場のオペラをたくさん観られたせいか、難曲にもひるまずチャレンジされていたように思う。
2015年秋にはご自身の傘寿のコンサートをご自身で企画。
それは3時間以上にも及ぶ長大なコンサートで、ドイツリートやらフランス歌曲やらオペラの重唱やら、とにかくやりたい曲は全部やった感じの、超盛りだくさんなコンサートであった。
その時私は『イル・トロヴァトーレ』の重唱でご指名を受けたので、一緒に歌わせていただいた。
ご家族の話だと、「米寿にもまたやりたい」とおっしゃっていたようだが、それは叶わなかったわけである。
でも、とても充実した、力強い人生を生き抜いた方だと思う。
若輩者の私が言うのもなんだけど。
昨日のコンサートは、野崎さんのたくさんの音楽仲間が集まり、演奏し、献花ならぬ献歌が行われたと言える。
私も、イタリア歌曲と『イル・トロヴァトーレ』の「穏やかな夜」を歌わせていただきました。
野崎さんはヴェルディのオペラも好きだったから。
最後は『魔笛』のコーラス、『ナブッコ』の「行けわが想いよ黄金の翼に乗って」を全員で大合唱。
素敵な一周忌コンサートだった。
年末からスタートした千代田区の「長唄のてほどき」ですが、先日が第5回(最終回)でした。
第1回~第3回は長唄の概要を知る座学。
第4回は三味線をお借りして「さくらさくら」を実際に弾いてみる体験。
第5回も三味線で「勧進帳」の一部分を練習。
三味線に触ったのは初めてです。
第4回と第5回の間が2週間あったため、すっかり忘却(バチの持ち方とか・・・)。
触っているうちに構造がわかってきて、少しずつ弾けるようになり、「三味線も面白いなあ」と思いました。
糸が絹糸なのも日本っぽい。
以前、徳島の家を大急ぎで片付けたとき、祖母の三味線を全部捨ててしまったようで、その時は後悔したのですが、今回の講義で「三味線は基本的に消耗品。メンテナンスしながら使う。古いものはかえって修理に費用がかかることがある」みたいなお話をお聞きしました。
くよくよする私の気持ちが少しラクになった。
本当に弾きたければ、手軽に始められるサークルや教室もあるみたいだし、そういう所では月1,500円とか2,000円とかで三味線のレンタルもしてくれるそうです。
どんな楽器も、練習時間を割かなければ上達しないので、長続きさせるために私が思うのは、
①その楽器の音そのものが好き。
②演奏スタイルが自分の好みと合っている。
③購入や修理のランニングコストが許容範囲内で、メンテナンスが苦にならない。
みたいなことかなあ。
歌もそうかも・・・。
私は歌だけでも手一杯で、ほかの楽器まで回らないのですが、三味線は良いなあと思いましたよ~
2月2日は上野の奏楽堂(重要文化財旧東京音楽学校)で、アリアと歌曲のコンサートに出演しました。
この日は午後に少し気温が上がり、春の気配が感じられる一日になりました。
この奏楽堂は、東京音楽学校(東京藝術大学の前身)にあった古い建物を、移築し、復元し、そして今回は耐震補強などのためにリニューアルしたということです。
改装しても、レトロな雰囲気はそのまま。
コンサートを聴きに来たことはありましたが、歌うのは初めてです。
私の歌は、「さくら横丁」『フィガロの結婚』の伯爵夫人のアリア(3幕)『トスカ』のアリア(2幕)の3曲を予定していました。
・・・が、なんと8名中3名もの出演者が体調不良(インフルエンザなど)で欠席になったとのこと、本番2日ほど前に連絡をいただき、急遽『蝶々夫人』の「ある晴れた日に」を増やすことになりました。
この時期のコンサートは、出演者も、お客様も、体調管理との闘いですね・・・(汗)
今年はインフルエンザめっちゃ流行っているし・・・。
「さくら横丁」(別宮貞雄作曲)は、一昨年亡くなった大賀寛先生に日本語唱法研究会で最後にみていただいた曲で、本番で歌ってみたかった。
『フィガロの結婚』は、今年6月に全幕公演を企画しているので、歌ったことのない3幕のアリアを自分のものにしたかった。
そうは言ったものの、伯爵夫人のアリアは直前まで暗譜が心配で、くよくよ悩んでピアニストさんを困らせたりしました(苦)
でも、当日舞台に上がれた時点で8割は成功だから(笑)
歴代の大御所も歌ったであろうこの会場で、『トスカ』や『蝶々夫人』のアリアが歌えるとは、なんと幸せなことでしょう。
ドレスは迷いましたが、プラム色の光沢のあるドレスにして、前半2曲と後半2曲でショールの色を変えました。
舞台裏の階段が狭くて急なので、手すりにしがみつきながら、そしてドレスを踏みながら上がり降りするのも(笑)、私にとっては楽しい経験になりました。
こういうところを改装していないのも、逆に良いのかも。
本番が始まり、「さくら横丁」の演奏がスタートすると、まだ咲いていない上野公園の桜が窓の向こうに見えるような気がして、様々な思いが頭を巡りました。
「さくら横丁」のおかげで、あとはどうにかスムーズに歌い続けることができました。歌うことができて本当に良かったです。
古くからの友人や知人が何人も足を運んでくれて、とても嬉しかった!
終演後は、お隣の東京都美術館の中にある「カフェアート」で「伝統のカレーライス」をいただきました。
本番後のカレーは美味い!
今年は、クリスマスの直前にジャズ・コンサートに行く機会ができました。
場所は渋谷のオーチャードホール。
ライブハウスじゃなくて、大きなホールで聴くジャズも、また新鮮。
最初は硬かった客席の雰囲気も、後半だんだんほぐれてきて。
演奏は、うらやましいくらい、自由だった。
自由に演奏するためには、とてつもない才能と、技術と、練習が必要だけど、そんなことを微塵も出さない、ただただ自由に音楽を楽しんでいるように見える人たちが、そこに居る・・・。
オリジナルのジャズ(即興含む)の連続でしたが、心地よく聴けました。
最後にちょっとだけクリスマスっぽい曲もあったけど、ゴスペル調に編曲されていて、大人のクリスマス、って感じだった。
ミラーボールが回ると同時に、小曽根真さんのサイン入りのハートが、天井からひらひらと羽のように舞い降りてきて足元に落ちて。
2枚ももらってしまった。
「縁起物」という言葉が頭に浮かびました。
たぶんコピーだと思うけれど、演奏の力のおすそ分けをもらえたようで、嬉しかったです。
オペラ『ファルスタッフ』を2回観ました。
1回目は月曜日。長津田のみどりアートパークでの公演。
以前私もお世話になったことのあるプロダクションの主催で、知っている方がたくさん出演していました。
大道具小道具ともに手作りの舞台で、ピアノ伴奏によるシンプルな公演でしたが、雰囲気はとても良かった。
2回目は木曜日。新国立劇場での公演。
指揮者はカルロ・リッツィ氏で、テンポよく音楽が運んでおり、やはりオケで聴くファルスタッフは、最後の大きな重唱まで圧巻でした。
美術は、17世紀のオランダ絵画にインスピレーションを受けたということで、フェルメール風。
出演者は皆とてもチャーミングで、絵画から抜け出たようでした。
喜劇は悲劇よりも難しい、と思う。
必死でやっていても、それを見せずにお客様を楽しませないといけない。
しかも、『ファルスタッフ』は、印象に残るようなアリアはほとんど無く(?)、掛け合いとアンサンブルの連続!連続!
大きなアンサンブルは複雑で、出たり入ったりするタイミングが難しそう。
観るのは楽しいけど、やるのはめっちゃ大変そうだわ、と思いました・・・。
『ファルスタッフ』は巨匠ヴェルディが作曲した、最後のオペラにして、珍しく喜劇。
シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』が原作になっています。
女好きで、大酒飲みで、しかしどこか憎めない巨漢のファルスタッフが、口説いた女性たち(人妻)に懲らしめられる、というお話。
現代ならハラスメントとしか思えない言動もあるのですが(困)、最後には「この世はすべて冗談」と言って、皆で笑って終わります。
あまり上演されないオペラなのに、立て続けに2本も観る機会があるとは~!
12月になりました。
昨晩は、大学時代の友人に誘われて、千代田区の「長唄のてほどき」に参加してみました。
現在の私は、モーツァルト先生の音楽とキャスティングに苦戦しており、逃避(?)で「長唄」に申し込んでしまったのですが、これはこれで奥が深そう(汗)
初回は「日本音楽の流れ」や「三味線音楽の種類」について学ぶ座学。
参加者はみんな熱心に耳を傾けています。
三味線音楽って、こんなに種類があるんだ・・・。
清元とか、常磐津とか、長唄とか、実際にCDで聴かせてもらって、その差を教えていただいたのですが、演者による差のほうが激しくて、ジャンルによる差は私にはイマイチわからなかった・・・。
視覚的には、三味線の大きさ(棹の太さ)、見台(いわゆる譜面台)の種類、舞台上の配置などでわかるそうです。
譜面はもともとは無くて、口頭伝承だったようです。
お囃子の中の篠笛ですが、歌い手や語り手の声域に合わせて、半音違いで多数用意しておく、というのも衝撃的でした。
確かに移調するよりは合理的かも・・・(謎)
縄文時代から続く、長い長い日本音楽の歴史の中では、西洋音楽が入ってきたのはつい最近、ということになります。
我々の祖先は、複雑な音楽を楽譜も無しに、そしてかなり自由に楽しみ、伝承してきたのでしょう。
そう考えると、譜面という共通認識ツールがあるのなら、ずっと勉強しやすいはず。
師走のひととき、粋な長唄を聴きながら、頭の中をぐるぐる回ったのは、なぜかモーツァルト先生のことでした。
メトリポリタン・オペラのライブ・ビューイング、今シーズンはアンナ・ネトレプコがタイトルロールを歌う『アイーダ』でスタートです。
もっと若いころは軽い声の役も歌っていたネトレプコ嬢ですが、今ではすっかりドラマティック・ソプラノに。
ここまで声の変遷を遂げて、なおかつ世界の第一線で活躍し続けている人も珍しいのではないでしょうか。
どの歌唱もひたすら感動しましたが、特に素晴らしいと思ったのは、第3幕のアリア「おお、わが故郷」。絶望したアイーダが、祖国への愛を歌うロマンツァです。
このアリアはめちゃめちゃ難しい。第1幕の「勝ちて帰れ」より難しいと私は思います。ネトレプコは迫力のある歌唱も得意ですが、こんな繊細な表現も完璧なんだと、うるうるしながら聴いていました。
幕間のインタビューでは、この役(アイーダ役)をやるのに必要なのは「技術と度胸」だとおっしゃっていました。
ライブ・ビューイングは、幕間のインタビューとか、制作裏話とか、メトの歴史とか、情報が詰まっていて飽きさせないので、トイレに行く時間も惜しい感じです(笑)
アムネリス役のアニータ・ラチヴェリシュヴィリ(メゾ)の声は初めて聴きましたが、ネトレプコにひけをとらない素晴らしい歌唱で、これからこのコンビがたびたび観られることになるだろうなと思いました。
ライブ・ビューイングの『アイーダ』はとても良かったけれど、これだけ大掛かりなオペラはやっぱり生の舞台で観たいよね、とちょっと思いました。
いつか行けるのかなあ。
風邪が治りきらず、17日の本番をとうとうキャンセルすることになってしまいました(涙)
自分が出るはずだったコンサートを客席で聴くのは、つらい。
いたたれない。
でも、せっかく来てくださったお客様に、ご挨拶だけでもできた。
新しい人とも知り合えた。
客席で皆の歌を聴くこともできた。
歌えること、表現できること、舞台に立てること、は特別なことなんだと思う。
聴くのも勉強になったけれど、やはり私は歌いたかった。
この日いろいろ考えたことを忘れないようにしなければ。
22日は、伝承ホールで「作曲家二人展」でした。
現代音楽はあまり耳なじみがないのでは、と思っていましたが、私の予想よりたくさんのお客様がいらしていて、ちょっとびっくりしました。
舞台上にいても、客席のお客様が熱心に耳を傾けていらっしゃる様子は良く伝わってきて、とても嬉しかったです。
演奏者がみんな上手な方ばかりで、ご一緒させていただけたのも、嬉しい。
私は、夏ボケなのか、リハーサルの時間を間違えたり(→でもどうにか間に合った)、忘れ物をしたり(→これは後述)、落し物をしたり(→スタッフの方が拾ってくれた)、
・・・もう、どうしたの、っていう感じだったのですが、
温かい方々に支えられて、どうにか無事に本番を終えることができました(汗)
服部先生の、静かで幻想的な世界が、うまく伝えられていると良いなあ。
今回は、曲想から、ドレスじゃなくて夏着物で歌わせていただきました!
紫と薄いグレーのざっくりした縦縞模様の小千谷縮の着物に、
生成り色で植物のポイント柄のある麻八寸帯、
蘇芳というか深い赤の、帯揚げと帯締めです。
楽屋でいざ着付けをしようとしたら、なんと帯枕を忘れている・・・!(困)
これから渋谷のデパートの呉服売り場に買いに?と思っていたら、
お手伝いに来てくれていた大学時代の友人が、持っていたタオルと私の腰紐で、即席の帯枕をささっと作ってくれました!
ありがたや~。
面白い経験がまたひとつ増えました。
終演後のビールが美味しかった!
一昨日は国際芸術連盟さんにおじゃましまして、8月22日のコンサートの伴奏合わせをしました。
私が歌うのは、高田敏子の詩による三つの歌「白い花」「夜道」「すすきの原」(作曲は国際芸術連盟の服部和彦会長)。
どの曲も、現実のことだか幻だかはっきりわからないような、不思議な世界・・・。
この世とあの世をつなぐ、今の時期にぴったりではないでしょうか。
中でも私は「夜道」が特に好きで、そうお話しすると、服部会長も「夜道」が気に入っている、とのことでした。
「今夜 坊やはなぜ寝ないのでしょう 夜道を帰る私の前を行く お母さんのひとりごと」
で始まるのですが、しんとした田舎道を、おそらく他の人は誰もいなくて、「私」と「お母さん」だけが歩いていく。
その道はどこに続いているのだろう。
空を見上げている「坊や」は「お母さん」に抱かれているのか、背負われているのか。
こんな夜更けに、「坊や」には何が見えているのだろう。
そもそも、これは現代なのか、それとも過去の時代の話なのだろうか。
調を持たない音の進行は、この若干ホラーな状況にとてもマッチしていて、どのように表現したらこの世界観をうまく伝えられるだろうかと考えてみる。
現代歌曲は、作曲の先生から直接アドバイスをいただけるので、勉強になります。
衣装は曲想を踏まえて提案させていただき、いろいろと打ち合わせもできました。
先週、前田勝則さんのピアノ・リサイタルが、西早稲田のトーキョーコンサーツ・ラボでありました。
このコンサート会場、初めて来ましたが、ちょっとレトロな感じでなかなか趣があります。
自分でも何かで借りられないだろうかとすぐ妄想してしまう私。
この日のプログラムは、前半はドビュッシー、後半はラヴェルと三善晃のピアノ・ソナタでした。
夏の宵のフランス音楽は良いです。
前田先生のスタイリッシュな演奏と、淡々とした面白トークで、時間はあっという間に過ぎていきました。
三善晃のピアノ・ソナタは現代曲ですが、なんだかすごかったです。
これは相当の技術がないと弾けない曲だと思いました。
聴いていると、足元から何かが満ちてくるような、不思議な感覚がありました。
アンコールの最後は、ドビュッシーの「月の光」。
この曲を聴くと、静かに心が落ち着き、子どものころを思い出します。
リサイタルが終わって外に出ると、空にはちょうど半月くらいの明るい月が出ていて、演奏会がまだ続いているような気がしました。
新国立劇場の『トスカ』、初日に観に行ってきました。
トスカ役は、この役を世界のあちこちで歌ってキャリアを重ねている、キャサリン・ネーグルスタッドです。
スケールの大きな歌唱は圧倒的で、オケがどんなにガンガン鳴らしても、それを飛び越えてくる声は流石でした。
他の配役も良くて、バランスが取れていたし、美術や舞台セットも綺麗でした。
トスカはこういうオーソドックスなセットじゃないと。
1幕終盤のテ・デウムも、今回は胸に迫り来るものがありました。
私の中でトスカの解釈が進んだせいなのかもしれませんが。
個人的には、スカルピア役のバリトン、クラウディオ・スグーラに大注目です。
他の役でも見たいと思いました。
オペラグラスも使って、隅から隅までガン見しました。
勉強のためと言いつつ、とにかく一生懸命見ました。
2幕終了後に客席から急病人が出て搬送されるというアクシデントがありましたが、主催側から説明もあり、その方も助かったようで、会場内は温かい一体感に包まれました。
初日は大成功だったと思います。
新国立劇場は20周年を迎えたのですね!
オペラが、これからも老若男女にとって、心躍る芸術でありますように。
まず、友人からの情報で、フリットリが日本に来られなくなったことを知りました。
えーー。
プロダクションのWebサイトを見ると、確かに
「レオノーラ役として出演予定だったバルバラ・フリットリは、気管支炎悪化の為来日が不可能となりました。ご理解賜りますようお願い申し上げます」
というお知らせが。
ガーン・・・。
「スケジュールの都合で、今年は日本でのマスター・クラスはできない」とは聞いていましたが、せめて舞台の上だけでもフリットリのレオノーラが観たかった・・・。
昨夏にマスター・クラスでお会いしたとき、今年『イル・トロヴァトーレ』で来日することをとても嬉しそうに教えてくれたフリットリ。
DVDで何度も何度も観たフリットリのレオノーラを、ついに生で観ることができる、と私も楽しみにしていたのですが。
あれほどのプロがどんなに気を付けていてもどうにもならないことがあるんだな、と思うと同時に、生の舞台の大変さ、その貴重さを、改めて感じました。
今回は養生され、またいつか聴かせていただけますように!
・・・とはいえ、昨日はテンションが下がりすぎて、なんとオペラに大遅刻してしまうという失態。
ほんと、もったいない・・・。
場面転換のタイミングで入れてもらえるので、待っている間にトイレに行ったところ、昨夏のマスター・クラスでご一緒したカオリさんとばったり!
もしかしたら、もやもやした気持ちを吹き飛ばすために、神様が会わせてくれた?
終演後は、オペラ談義をしながらの、思いがけず楽しい中華料理の夕食会となりました。
いろいろ思うところはありましたが、やはり生の舞台は面白く、日本に居ながらにしてイタリアの歌劇場の音楽に触れる機会は贅沢です。
何よりも、ヴェルディの『イル・トロヴァトーレ』というオペラは音楽が素晴らしい、と再認識しました。
5月半ばのオペラが終わってから半月、すっかり燃え尽きてしまった私は(笑)、ずっと霧の中で生活していたようでした。
後片付けや事務処理も思ったように進まず。
足の指は、おかげさまで快方に向かっています。
どうやら粉砕骨折っぽくなっていたようで、レントゲンを見たら何本も骨折線が入っていました。
見ているだけで痛い。
よく本番ができたなあ、と感慨深いのですが、あのころの私は毎日アドレナリンが出ていたのか(?)、そんなに痛くなかったのです。
『蝶々夫人』の映像サンプルをいただきましたので、昨日観ました。
「ここをこうしたら良かった」という反省点や悔しさもありますが、「今の私ができる範囲のことはやった」という達成感や感謝のほうが大きいです。
ドキドキしましたが、一気に全部観てしまいました。
たとえば、悲しみを伝えるときに、当人がいかにうまく芝居するかはもちろんですが、周りの演技によって、それがよりリアルに伝わるのだな、と改めて感じました。
オペラはやっぱりチームワークだなあと。
何かに夢中になれる日々は貴重です。
稽古も本番もなかなか大変でしたが、あの時間、あの空間がとても愛おしく、懐かしく、
あの場所にもう一度帰りたいような気がするのです。
今日から6月。
会社の行き帰りに見るクチナシの花が開き始め、ほのかに甘い香りがただよっています。
初夏を感じる、大好きな香りです。
まだ疲れているし・・・『ルイザ・ミラー』は前に観たときピンとこなかったから・・・などと、理由をつけてぐずぐず行かないでいたら、友人から強く勧めるメッセージが!(笑)
東銀座まで観に行ってきましたよ~。
結果、これは無理して行って、良かったです!!
特にヴェルディ好きは行ったほうが良い。
このところお父さん役がすっかり板についてきたプラシド・ドミンゴ様が、ルイザの父で退役軍人のミラー役に。
注目の若手ソプラノ、ソニア・ヨンチェヴァが、タイトル・ロールのルイザ役に。
なんでも歌えちゃうピョートル・ベチャワが、ルイザの恋人ロドルフォ役に。
さすが、豪華~。
出演者も言っていましたが、1幕はドニゼッティ風、2幕は無伴奏の重唱が珍しくて(でも難しそう)、3幕は『オテロ』みたいでドラマティック。
そして周りを固める悪役が、みんななんとも上手い。
ヴルム役のディミトリ・ベロセルスキーがルイザを追い詰める2幕冒頭なんて、わくわくしました。
私はいったい誰の味方なんだ(笑)
ドミンゴ様は40年前にロドルフォ役を歌って大喝采だったらしい。
そして今回はミラー役で圧倒的な歌唱と存在感。
年齢を重ねてなお進化し続けるドミンゴ様は、オペラ界の宝だと思う。
『ルイザ・ミラー』ちょっとマイナーだけど、こんなに良いオペラだったかと再認識。
開演前の舞台袖。
この白い打掛は、京王百貨店の貸衣装処分市で2月に手に入れた物です!
打掛の下に着ている白い着物(掛下)は、友人の岩国のご実家に、長い間眠っていた物。
別々のところにあったのに、柄もピッタリで、まるで一揃いだったように集まってきた!
不思議~。
子ども役が持っていた星条旗は、直前に見つけた新宿の旗屋さんで買った物。
ボンゾの数珠や輪袈裟は、私の伯父の物。
今回は原宿のオリエンタルバザーや浅草にも足を運びました。
日本髪は初挑戦でしたが、思いのほか似合っていた(!)ようで、スズキ役の吉山博子さんともども、良い思い出になりました。
いろいろ大変なこともあったけれど、人にも物にも恵まれた、幸せな公演だったと思います。
『蝶々夫人』は悲しいお話です。
当時の社会情勢としては仕方のない面もあるだろうけれど、見終わった後はいつも居たたまれない気持ちになりました・・・。
でも、プッチーニの音楽はあまりにも美しい!!
散りばめられている日本の音楽のモチーフは、あの時代にどうやって手に入れたのだろうか、と思う。
何度か稽古するうちに『蝶々夫人』をだんだん客観視することができるようになりました。
この名作をどうにかうまく伝えたい、という気持ちが強くなり。
ところで、
舞台ではみんな真剣に演唱していましたが、舞台裏はこんな感じでした。
・・・って、こんな写真撮ったっけ?(汗)
今回は字幕担当の桑原さんにも和装でお願いしました。
伝承ホールの桟敷席で、文豪風。
かっこいい。
やはり着物は、日本人の民族衣装だなあ、としみじみ思うのでありました。
5月12日の良く晴れた土曜日、歌劇『蝶々夫人』が無事終演しました!
オペラは毎回、「出演者とスタッフの全員が当日無事に揃った時点で、8割成功」と思うのですが、今回は特にそうでした。
昨夏くらいから主要キャストで少しずつ稽古をしてきて、その間もいろいろなことがありましたが、なんと本番2週間前に私が足の指を骨折するという・・・(泣)
小道具やらチラシやらいっぱい詰まったスーツケースを、足に落としたんですね。
ホント、気を付けないと。
本番は、がっちりテーピングして臨みました。
本番の舞台には、伝承ホールからお借りした、一双の銀屏風。
演出の森朱美先生の発案で、座敷の四隅に置いた箱馬にも銀色の布をかけました。
柱のようでもあり、結界のようでもある。
ちょっとアンティークな椅子は、アメリカに帰って居なくなったピンカートンの象徴として、2幕から加わります。
森先生の舞台構成は、シンプルだけれどセンスが良く、初めて観るお客様にも内容がよく伝わるので、信頼してお任せしています。
赤い傘に白打掛で脇の入り口から登場したとき、「念願の蝶々さんを演じることができる」と思い、胸がいっぱいになりました。
「1幕では可愛らしく!」と周りからさんざん言われましたので、ピンカートンより偉そうにならないように頑張りましたが、どうだったかな~(笑)
2幕3幕と進むうちに、本当に我が子と別れなければならない母親のような気持ちになり、蝶々さんは歌いっぱなしの難役ではありますが、割とスムーズに歌い進めることができました。
細かい反省点はいろいろとありますが、ぐずぐず悩んでたら、舞台に上げてくださった神様に申し訳ない!
カーテンコールで草履が片方脱げてしまいました(笑)
白打掛の裾は、ナポリ風ピザの端っこみたいで、綿が入って厚くなっているため、前進は容易にできるのですが、後退が難しいのです。両手を指揮者さん、シャープレスさんとつないでいたため、身動き取れず(笑)
伝承ホールは和風の雰囲気なので、今回の演目にぴったりだったのではないかと思います。
お客様も楽しんでいただけたなら幸いです。
公演も今週末に迫りました。
あとはゲネプロと直し稽古で、その次は本番。
そう思うと、ちょっとさみしいような気もします。
大好きな、蝶々さん。
指揮者の福田光太郎さんは、今日までミュージカル「アニー」の指揮で、今日が千秋楽のはず。
明日お会いできるのが楽しみです。
今回は、ピアノの赤坂こずえさんのほかに、国内を飛び回って活躍している、ヴァイオリンの五十嵐彩子さんにも加わっていただけることになりました。
とっても素敵な音色(嬉)
字幕の桑原理一郎さんはゲーム音楽作曲家で、イベントが成功したばかり。
関わり方は様々だけど、オペラはたくさんの人の協力の上に成り立っているなあと。
連休中の練習風景の写真を撮っていただきました。
これは2幕の終わりのほうですね。
このときの蝶々さんは、ピンカートンに会えると思っているので、幸せ。
その前のステリハ時のオケ部隊の写真も。(ちょっと暗い?)
今回のオペラでは、歌やお芝居だけじゃなく、かけがえのない経験がいろいろできました。
本番はこれからなのに、総括しちゃってますが(笑)
春になったかと思うと、桜の花はあっという間に散ってしまい、4月になりました。
今年の満開の桜は短くて、ちょっとさみしかった。もっとゆっくり楽しみたかったですよね。
さて、5月の蝶々夫人に向けて、
チラシを配ったり、
打ち合わせをしたり、
立ち稽古をしたり、
衣装の準備をしたり、
しています!
チラシは私がデザインしましたが、日本の伝統色を背景に、題字は黒を使用しました。
墨汁で描いたような感じにしたかったので。
蝶々がとまっている真紅のお花は、このお話の結末を暗示しています。
『蝶々夫人』は悲しいお話ですが、稽古はとても楽しい。
今回は和物なので、今までにしたことの無いような勉強(?)もしています。
年末から日舞を習い始めました。
日舞といっても私の場合、立ったり、座ったり、うろうろしたりするだけで、なかなか先には進めないんですけれどね(汗)
ああ、なんで、もっと若い時にやっておかなかったんだろう~!
それから、すごくテキトーなんですが、着物も着られるようになりました。
「洗える着物」でそんなに値段の高くない物を買って、半幅帯と合わせて、稽古で着ています。
着物を着るようになってから、大河ドラマや時代劇の見方が今までと変わりました!
「西郷どん」の北川景子さんの衣装などとても素敵なので、毎回録画です。
その前に暗譜でした・・・。
がんばります。
先日は久々にメトロポリタン・オペラのライブ・ビューイング(映画)に行ってきました。
演目は『トスカ』。指揮者も主要キャストも、それぞれがそれぞれの事情で全交代したという、いわくつきの(?)プロダクションです。
もともとのキャストも期待大だったのですが、変更後のキャストも、これがまた良い。
トスカ役には最近メトで次々と大きな役を歌っている若手ソプラノ、ソニア・ヨンチェヴァ(初役)、恋人のカヴァラドッシ役には熱いイタリア人テノール、ヴィットリオ・グリゴーロ(初役)。
グリゴーロ氏に関しては、来日時に公開レッスンやリサイタルを聴きに行ったこともあり、親近感もあります。
結果、観に行って良かった!
『トスカ』は何回も聴いているはずなのに、隅々まで「腑に落ちた」のは初めてかもしれません。
とてもリアリティのある演出でした。
「メトみたいな大舞台で急に役交代って、気負いは無いのかな」と余計な心配をしていましたが、幕間のインタビューを見る限りでは、2人ともとても舞台を楽しんでいる様子。
グリゴーロはイタリア人テノールらしく、はしゃいでしゃべる、しゃべる。
ヨンチェヴァは「トスカは前からやりたくて練習していた役」「メトは家族みたい」と目を輝かせている。
気負いなく、今できることのすべてをやるだけ。
若いけれど、すでに一流となった人たちの才能を目にすると、こちらも元気になります。
平昌オリンピックを見ている時も、そう思いました。
2月14日の夜は、新橋のアルテリーベさんでコンサートをさせていただきました。
お相手はメゾソプラノの星由佳子さん、ピアノは三浦愛子さんです。
「お食事できるようなくつろいだ空間で、気取らないコンサートをやってみたいなあ」と前から思っていましたので、とても良い経験ができました!
バラエティに富んだプログラムで、なかなか良いコンサートになったのでは、と思います(嬉)
バレンタインも最近、多様化しております。
どんな過ごし方をしても良いのです!
私の周りでも、お世話になった人にチョコレートで感謝を伝える、お歳暮的な日(?)になっている気がする・・・。
今年は、お客様と一緒に、音楽で楽しいバレンタインを過ごすことができました!
一週間前の水曜日、そうです、あの皆既月食の日、見学も兼ねてアルテリーベに行ってきました。
「クラシック(主に声楽)の生演奏が聴けるドイツ料理のお店」という、都内でも珍しいタイプの飲食店です。
飲食店で声楽の生演奏、というのを常時やっているのは、私の知っているところだと、トナカイ、ライオン、ジャルダン・ド・ルセーヌ、アルテリーベ、かなあ。
オペラ歌手にとっては、ホール以外でお客様に自分の演奏を聴いていただける大切な場所にもなっているようです。
今回私は、メゾソプラノの星さんに誘われて、2月14日の夜のコンサートに出演させていただくことになりました。
バレンタインなので、「愛」をテーマに、古今東西いろんな曲を集めて演奏する所存!
演奏の前には、まず「現場」を見てこなければ。
・・・というわけで行ってきましたが、新橋駅にも近く、木でできたアットホームな空間。この日は、テノールの村上さんと、関西から来られたソプラノのお二人で、お話も、歌も、楽しい夜となりました。
黒ビールがうまい。
ひとりで行ったけど、さみしくない(笑)
私たちの時も、来たお客様には楽しんで帰っていただきたい。
がんばろう~。
一昨日は、出演予定の三人で集まり、市ヶ谷で打ち合わせ。
12月7日は、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、ガラ・コンサートに出演しました。
なじみ深いホールですが、出るのは初めて。
歌ってみると、ホールの隅々まで音が浸透していくような、素敵なホールでした。
音や表現が自在にコントロールでき、しみじみと感動しながら歌うことができました。
曲は、歌劇『運命の力』より「神よ平和を与えたまえ」と、歌劇『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」の、大好きな2曲を選びました。
「神よ平和を与えたまえ」は、オペラの中では洞窟に幽閉されている設定ですが(!)、この日はコンサートなので、黒のドレスに濃紺のジョーゼットのショールにしました。
また、「ある晴れた日に」では、小さな蝶々や草花の柄のついた赤っぽい着物を羽織りました。この着物は、2年ほど前に他界した徳島の伯母が作ってくれたもので、伯母も一緒にホールに連れてきたつもり、です。
昔からの友人たちが観に来てくれていて、終演後に皆で食事をしました。
この時期のサントリーホールはクリスマス・イルミネーションが綺麗で、写真を撮りまくり(笑)
ゲームに出てくる魔法の石みたいな、虹色のクリスタルで出来たクリスマスツリー。
カラヤン広場の滝の前には、正20面体の神秘的なオブジェもありました。
良い思い出ができた、冬の夜です。
昨日は新国立劇場に『椿姫』を観に行ってきました。
2幕1場まで終わったところで30分の休憩があったのですが、私は財布を忘れていったため(!)、飲食も買い物も出来ず(悲)、ひたすら水筒のお茶を飲んでいました。
それにしても、水筒持って行ってて本当に良かった!(笑)
今回の『椿姫』の目玉は、ソプラノのイリーナ・ルングというロシアの人で、私は初めて聴く人でしたが、容姿といい、声といい、評判通りヴィオレッタにぴったりの美人でした。
まだ若い人のようでしたが、この役をすでに世界の一流歌劇場で歌っているのだそうです。
パンフレットには、新国立劇場で公演した今までの『椿姫』一覧が載っていて、ここでヴィオレッタを歌った人はその後も大活躍しているので、この人もそうなっていくんだろうな、と思いました。
1幕の技巧的なアリアを軽々とこなしていたので、コロラトゥーラかと思いきや、2幕3幕のリリックな表現もさらに素晴らしかったです。決して軽い声ではなく、声量もあったので、とても柔軟な声帯をしているんでしょうね。
アルフレードやジェルモンも、声もキャラクターもぴったりでした。
キャラクターがハマるとオペラは気持ちが良いものです。
セットは、基本的には舞台中央に置かれた1台のグランドピアノだけでした。
それが1幕でお立ち台(?)になったり、2幕で机になったり、3幕でベッドになったりしていました。まるで小劇場の演出のようだと思いましたが、それはそれですっきりしていました。
3幕ではヴィオレッタとその他の人々を隔てる蚊帳のような紗幕がありました。すぐそばにいるのにお互いに直接触れられないようになっており、これはヴィオレッタの魂がもう半分くらいはこの世のものではない、ということを象徴しているのだろうと思いました。
カーテンコールでは客席は大いに沸いており、スタンディングオベーションで、この公演が大成功だったことを物語っていました。
大劇場の外に出ると、ロビーには可愛いクリスマスツリー。
11月4日は、高松高校神田会の東慶寺コンサートでした。
ご縁のある東慶寺さんの本堂をお借りして、高校の同窓会が毎年秋に続けてきたお月見コンサート、今年がファイナルだということです。
終わってしまうと聞いたら、毎年参加すれば良かったなぁと反省(苦笑)
なんでも、始まりがあれば、終わりがあるのです・・・。
少し早めに北鎌倉に着いたので、東慶寺さんの境内を歩きました。
秋の花々が、静かに咲いておりました。
本堂でのコンサートの様子は、出演者の肖像権とかがあるかもしれないので割愛。
始まる前の写真を。
前半は、フルート、オーボエ、電子ピアノの室内楽、後半はコントラバスとヴォイスパフォーマンスでした。このヴォイスパフォーマンスは、コントラバスの藤原先輩の伝手で、究極の無ジャンルバンド、ヒカシューの巻上公一さんが演奏!
クラシックも現代音楽も堪能したところで、座敷では宴会がスタートしました。
東慶寺の井上さんのお料理は、どれも美味しい!
いくらでも食べられる、懐かしい味の絶品手料理です。
今年は100名分くらい作っていただいたのではないでしょうか。
東慶寺のコンサートには、私も2008年に出演させていただきました。
同郷の方たちの温かい雰囲気の中で、緊張しながらも楽しく演奏させていただいたことを覚えています。
過去の出演者ということで、今回私も1曲歌わせていただきました。
蝶々夫人の「ある晴れた日に」を、フルートの白川真理先輩の伴奏で。
打ち合わせ無しで、しかもGパンで(笑)
来年5月に企画しているオペラの、宣伝になれば良いのですが・・・。
コンサートが終わると、空には綺麗な月が出ていました。
歌劇『シモン・ボッカネグラ』が終了しました。
10月23日の公演にはアメーリア役として出演して、
10月24日の公演には観客として観に行ってきました。
このところずっと、シモン漬け。
まだ、頭の中を、オペラのあちこちの旋律がぐるぐる回っています!!
ぐるぐる回っているのは、自分のところよりも、序曲であったり(個人的には序曲が一番好き)、バスとバリトンの延々と続く二重唱であったりするのですが。
8月から始まって3ヶ月近く稽古に参加してきたので、終わっちゃってさびしいです。
ヴェルディのオペラの中では、あまり上演されない、というか、全幕上演しにくい演目なのですが、このプロダクションの場合、指揮者、ピアニスト、キャスト、関わっている人全員が「シモン・ボッカネグラ愛」に満ちあふれていて(!)、楽しく幸せな日々でした。
私は初役でしたので、マニアの方々より解釈が遅れていたのですが、そのぶん得るものも大きかったと思います。
シモンとアメーリアのペンダントは、私の手持ちの小道具コレクションの中から提供させていただきました(笑)
演じてきたオペラの役は、私にとってどれも大切な役ばかりです。
それに新しい役が加わりました。
みなさまに感謝です!
明日の夜は『シモン・ボッカネグラ』の本番。
会場は横浜の吉野町というところのホール。
初めて行くホールです。
どんなところだろう。わくわく。
台風が近づいてきているので、今日はかなりな大雨なんですが(!)、
今回は、以前からやりたいと思っていた『シモン・ボッカネグラ』
主催の方は、2016年1月『ドン・ジョヴァンニ』で、私がドンナ・アンナを歌ったのをご覧になったとのことでした。
娘役のイメージなのかしら。いずれにしろ、実年齢が関係なくて良かったです。
『シモン~』はあまり上演されないオペラですが、私とは何かと縁があるみたいで、
ソプラノとテノールのデュエットはたくさんあるけれど、
とはいえ、全幕を勉強できるとは夢にも思わず。
そして、私のような怠け者は、
通し稽古でやっと全体像が見えたかなというところですが(汗)、
男声陣はどの方もみなさん惚れ惚れするような声で、素晴らしい。
当日、急に来られるようになった方も是非。(と宣伝してみる)
昨晩は『シモン・ボッカネグラ』の練習日。
ざっくりと荒立ち稽古をしました。
『シモン・ボッカネグラ』はヴェルディ中期のオペラで、実在の人物を題材としていますが、他のオペラに比べると筋書きが多少込み入っており(注、ワーグナーを除く)、また、男声の重厚な低声を多く必要とするためか、日本ではあまり上演されないオペラです。
私も以前は「地味だな~」と思っておりましたが、やってみると「いぶし銀」のような魅力があり、じわじわと来る良さがあることがわかりました!
今回、私の役は、主人公シモンの娘、アメーリア。ヴェルディのオペラによく出てくる、誇り高く、気の強いソプラノのヒロインのひとりです。
少しずつ勉強を進めてきた役でした。
しかし、昨晩は、暗譜できていると思っていたところも、譜面を外して動いてみると、ちゃんと覚えられていなかった・・・。
・・・もう、大反省。
ですが、稽古場でキャストどうしの化学反応(?)みたいなものが起こり、オペラが立体的に構築されていく様は、音楽が二次元から三次元に変身を遂げるようで、見ていてわくわくしました!
舞台は、やっぱり面白い。
私の課題は、もう一度譜面を見直して、DVDも見て、練り直し。覚え直し。
昨日は「香るアフタヌーンコンサート」サブタイトル「熟女ソプラノトリオが贈る神楽坂サマーコンサート」でした。
・・・熟女ソプラノトリオ(笑)
40名以上のお客様に来ていただきまして、会場は満席。
暑くもないし、雨も降っていないという、最近の中ではそこそこのお天気の午後、楽しいひとときをお客様と過ごしました。
会場は「神楽坂アートサロン香音里」。
クラシックな雰囲気が素敵な、一軒家です。
2階を楽屋としてお借りしつつ、1階でリハーサル→本番をおこないました。
和室ということで響きを心配していたのですが、窓ガラスやピアノのふたが反響板の代わりをするのか、歌いにくくありませんでした。
照明の感じとか、間取りとかが、昔住んでいた家とどことなく似ていて、懐かしい雰囲気です。
この3人でやるコンサートは今回が初めてだったのですが、昔からの知り合いのように企画を進めることができました。
いろいろな共通点もあり、共通の知り合いもいたりして。
また、今回のプログラムは、企画段階からよく相談して、コンセプト(のようなもの)を練り、それなりに練習を重ねることもできましたので、歌った私たちにはなかなか達成感のある内容になったのではないかな、と思っています。
お客様にもそれが伝わっていると良いなあ。
打ち上げはそのまま神楽坂で、本番の倍くらいの時間をかけて打ちあがりましたとさ(笑)
怒涛の7月が終わり、8月になってもう8日。
7月末に私がどのくらい混乱していたかというと、31日にはとうとう左右違う靴を履いて出かけてしまうという・・・(爆)
形が同じだったので、気がつかなかったのですね(汗)
それにしてもボケまくりです。
「サッカー選手や海外セレブの間では、左右別の靴を履くのが流行ってるよ!」とかなんとか慰められつつ・・・。
8月に入り、ようやく次に向けて取り掛かる気持ちになれました。
神楽坂の「香るアフタヌーンコンサート」(8月20日本番)の練習をしたり、歌劇『シモン・ボッカネグラ』(10月23日本番)の音楽稽古が始まったり、で。
20日の神楽坂は、日本家屋の懐かしい雰囲気の一軒家で、40人くらいのお客様に向けておこなう、アットホームなコンサートです。熟女(?)3人がかりでいろんな歌を歌います。
コンサートホールとはまた違った良さを出せたらな、と思っています。
終演後には、夏の夕暮れの神楽坂をぶらぶら歩いてみるのも良いなあ。
終わってから少し経ってしまったのですが、7月14日もバルバラ・フリットリのマスタークラスを受けてきました。
前日よりは広くなり、30人くらい入る会場です。
この日の私のレッスン曲は『イル・トロヴァトーレ』の「恋はバラ色の翼に乗って」と、『運命の力』の「神よ平和を与えたまえ」。どちらもヴェルディのオペラアリアゆえ、フリットリはノリノリでした。
ヴェルディ愛~~。
特に『運命の力』のラストは圧巻でした。私がこの曲を持ってきたからこそ、聴講の人たちもこんなに近くでフリットリのパーチェ(運命の力のアリアの通称)を聴くことができたのだよ!良かった、良かった(笑)
譜面を勝手に変えて歌ったりすると、「ヴェルディがお墓の中から出てきて怒る」とのこと。気をつけましょう。
今回のマスタークラスはほとんど知られていなかった。
これだけの歌手だから、どこかのホールとか音大の講堂で大々的にやっても良いようなものだけど、そうなると今回のような、まるでホームレッスンのような温かな雰囲気は無くなるかもしれない。
それはそれでさびしい。
どちらが良いのかわからない。
今回はバルバラを身近に感じられて、本当に幸せな時間と空間でした。
7月12日~15日、なんとバルバラ・フリットリのマスタークラスが東京で開かれるとのことで、昨日受講してまいりました!
フリットリは世界中の歌劇場で活躍中のソプラノ歌手で、特にヴェルディのオペラには定評があります。
フリットリのオペラやコンサートにはもう何度も足を運んでいるし、CDやDVDも持っていて、超リスペクトする歌手のひとりです。
意を決して受講を申し込んでからも、「マスタークラスはホントにあるのだろうか?」とか、「すごく直されてワンフレーズしか進めなかったらどうしよう」とか、「この役は歌うのやめたらとか言われたらどうしよう」などと、ぐずぐず悩み、考え始めるとますます不安に。
余計なこと考えないで練習したらいいのに(笑)
そして昨日、マスタークラスの会場に入ったら、そこには本物のフリットリ様のお姿が!
ダメージの入った白ジーンズに、キラキラ光るドクロの黒Tシャツという、パンチのきいたオシャレな装い。
私の前の人がドニゼッティの「一滴の涙」を持ってきており、フリットリがワンフレーズ歌ってみせたりしている!
そのワンフレーズがそれはそれは美しく、これだけでも来た甲斐があったというもの。
そのうちに私の番になり、おそれ多くも『ドン・カルロ』のエリザベッタのアリア「世のむなしさを知るあなた様」を歌ったところ、さすがにこの役を世界中で歌っているフリットリ様だけあって、どんどん直してくださるのです!
直したほうがいいところは止めて、同じ箇所をフリットリが歌って見本を見せてくれるので、結果的には交代で全部歌うような形になりました。
こんな至近距離で、エリザベッタが聴けるなんて、感涙もの!
また、このアリアの背景となっているスペインのお墓に、フリットリ自身が実際に行ってみたときの詳しい情景なども話してくれました。
「この歌を歌う人はみんなそこに行ってみなければなりません!」というようなこともおっしゃっていました。
遠いんで、そんなに簡単には行けないんですけどね~(汗)
前後の人のレッスンを聴いただけですが、フリットリの教え方はとてもわかりやすく、その人の実力に合わせて的確なアドバイスをしているように見受けられました。
聴講するだけでも価値あり、でした。
興奮しすぎて昨日は疲れちゃったので、本日は脱力気味。
イタリアの名ソプラノが429席の観客に歌う、一夜限りのリサイタル、7月3日は武蔵野市民文化会館へ行ってまいりました~。
白いドレスに濃紺の薄いショールを羽織って出てきたチェドリンス、最初の曲が『ノルマ』の「清き女神よ」です!
これって普通は、コンサートの最後のほうに歌うアリアでは?・・・と思っていたら、ピアニストのソロも挟みながら、さらに全開になっていき、『オテロ』や『運命の力』のアリア。
前半だけでリサイタル一回分くらい歌ってしまいました(驚)
チェドリンス氏はドラマティック・ソプラノで、出すところは出すけれど、細かい表現はとても繊細。ダイナミックな歌と演技にどんどん引き込まれていきます。
そして休憩を挟んで後半。
濃いピンクのドレスに着替えたチェドリンスは『蝶々夫人』の「ある晴れた日に」でスタートです。DVDにもなっているチェドリンスの蝶々夫人ですが、生で聴くのは初めて。これも素晴らしかった。
『ボエーム』のアリアを2曲歌い、カンツォーネも歌って、最後はサントゥッツア。
いろんなオペラの主人公が舞台の上でくるくると入れ替わります。
端のほうに譜面台をいちおう置いてあるんですが(ほとんど見ていないけれども、時々何かを確認している様子)、それすらも小道具のように使っていらっしゃいました。
アンコールには『カルメン』の「ハバネラ」なども歌って、最後の最後は会場も巻き込んで「初恋」を日本語で。
会場も良い声だなあ、と思っていたら、帰りのロビーで音楽関係者の姿がちらほら。
興奮し過ぎで、知り合いに会っても「すごかったですよね」としか言えない私。
クールダウンするために、吉祥寺のゴンチャでブラックミルクティーをずるずる飲んで帰りました。
あんなすごい表現力を、ほんの少しでもマネできたら良いんですけれど。
6月は、徳島の家を片付けに帰っていたりしたため、なんだかバタバタと過ぎてしまいました。
そして気がつくと、もう月末!
ブログも更新できなかったなぁ、なんて。
そんな中、昨晩は、今年度の日本語唱法研究会の初日でした。場所も新百合ヶ丘から中野に移ったため、初の会場です。
この研究会は、講義のあと、大賀先生による数人の公開レッスンのようなものがあるのです。昨晩は私も歌わせていただける番でした。
超緊張・・・!(笑)
私は3年目ですが、研究会にはずっと前から参加されているベテランの方も多い。私にとっては最近レパートリーにしたばっかりの曲を披露しているけれど、皆さんはよくご存じなんだよね、と思ったり。
朝から何となく落ち着かず、仕事も上の空で、普通のオーディションのほうがまだ緊張しないよね、と思ったり。
「歌曲はその人なりの情景や感情の表現で良いのだ」とか、他人にはエラソーなことを言っておきながら、自分はまだまだ迷いが多いのであった・・・(笑)
そんなこんなで、あっという間に歌唱も無事終了し、いただいた指摘も大切なことばかりで、有意義な時間を過ごすことができました。また、がんばろう、と思う。
久々に会った方とおしゃべりすることもできたし、友人と帰りにご飯もして(安くて美味しい中華でした!)、ようやく緊張がほぐれたのでした。
5月28日に試唱会(オーディション)を受けまして、日本オペラ協会にも所属することになりました!
オーディション用に提出した日本歌曲は、私にとってどちらも思い入れのある曲でしたので、本番も落ち着いて歌えたんじゃないかな~と思います(当人比)。
日本オペラ振興会は、藤原歌劇団(イタリア・フランスものを主とする外国のオペラを公演)と日本オペラ協会(日本のオペラを公演)の2つの団体から成り立っているのですが、今までは一部の人を除いては、どちらかに所属することになっていました。
このたび規程が変わりまして、両団体に所属することができるようになったのですが、日本語唱法を研究している私としましてはw、藤原歌劇団だけではなく日本オペラ協会にも所属したい、というわけで。
何かに「合格する」ということは嬉しいことですね~。
昨日「ひとり合格祝ランチ」をしました。
瀬戸内産のイワシのマリネはしみじみと美味しく、デザートには今年初のかき氷をいただきました。
支えてくださる方々に感謝しつつ、私の歌える歌を、これからも歌っていきたいと思っています。
昨日は、新国立劇場に「ジークフリート」のゲネを観に行く機会に恵まれました。
「ジークフリート」は『ニーベルングの指環』の中の1作品で、この『指環』は、「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の4作品から成り立っています。
『ニーベルングの指環』は全部上演すると、本編だけでも15時間くらいあるので(!!)、ヨーロッパの歌劇場でもひとつずつか、連続でも4夜とかに分けて上演されているようです。
ワーグナーは長い。
長さに加えてこちらの知識も無い。そのため、なんとな~く敬遠していたのですが、文学にしろ芸術にしろ娯楽にしろ、この世界観を共有するもの、またここから派生したものがたくさんあることから、『ニーベルングの指環』に関してはちゃんと観てみたいなあと思っていたところでした。
上演は午後2時にスタートし、休憩も含めて約6時間。終わったのは夜8時ごろでした。
最後まで頑張れるだろうか・・・とちょっと心配だったのですが、それは全くの杞憂でした。
すごかった!すごく良かったのです!
もし、今日もう一度見せてあげる、と言われたら、喜んでいくかも。(言われないけど)
普通のオペラよりさらに重厚感の増したオーケストラを飛び越えて、劇場の隅々まで響き渡るジークフリート役のステファン・グールドの声。
言葉のひとつひとつが、二階席の手元まで明瞭に飛んできて、感動です。
この役は、最初から最後まで歌いっぱなしの上、スタミナが切れかかる第3幕後半で、眠りから覚めた超元気なブリュンヒルデ(この人もワーグナー歌いのソプラノなので半端ない)との長大な二重唱があるのです。
この役を歌える人がそうそういるとは思えない。
ステファン・グールド氏はこのジークフリート役が持ち役で、もう60回以上も歌ってきているという話。そういう人でこのオペラが聴けたということは、とても嬉しいことでした。
さすらい人の姿をしたヴォータン(神々の長)役のグリア・グリムスレイの低声も渋くてステキでした。エルダ役のメゾのクリスタ・マイヤーの深い響きも重唱も良かったです。
この日はゲネプロでしたので、カーテンコールでは既に私服に着替えているキャストの姿も見ることができました。
いちおうあらすじは調べていきましたが、ワーグナーってオペラの中でなぞなぞ合戦みたいな問答があって、それまでのいきさつがわかるようになっているんですね。親切~~。
21日の日曜日は、日本オペラ協会の「日本歌曲連続演奏会」が新百合ヶ丘で催され、今回は大賀先生の米寿のお祝いのコンサートでもありました。
プログラムは、大賀先生の好きな歌を作曲家ごとに古い順に28人の歌手が演奏していく、というものでしたが、バラエティに富んでいて、最後まで飽きることがありませんでした。
感動したり、大笑いしたり。
それぞれの歌に、深い「思い」のようなものが込められていて、どの曲も味わい深いものでした。
日本語だからダイレクトに伝わってくる、ということもあると思います。
コンサートも終盤になり、折江監督の歌われた「小さな空」(武満徹作曲)は、聴いているうちに涙が止まらなくなりました。さらに追い打ちをかけるように、大賀先生が「荒城の月」(瀧廉太郎作曲)を歌われると、何ともいえない寂寥感にさいなまれて、自分が何に対して泣いているのか、最後にはよくわからなくなりました。
そういえば、私の亡き母も「荒城の月」が好きで、よく歌っていました。
記憶が曖昧になり、いろんなことができなくなった晩年も、「荒城の月」だけは歌っていた母。
母の頭の中には、どんな月が見えていたのだろうか・・・と、ふと思う。
同じ歌でも歌い手によって、さまざまに情景は変化します。
歌曲は、その歌い手の人生そのものなのだなあ、と思います。
昨晩は8月の神楽坂コンサートの打ち合わせをしました。
どことなく不思議な縁でつながった方たちとの、新しい船出です。
コンサートをするにあたっては、
〇会場の広さや雰囲気に合うこと
〇お客様との一体感を大切にしたいこと
〇3人でやることの良さも生かしたいこと
などが話し合われ・・・
また、「夏」「神楽坂」「小道」「オペラ」・・・などのキーワードから、どんなコンセプトにしようかと意見を出し合いました。
商品開発の会議に似ています。
あっという間に夜は更け、打ち合わせの続きを行うべく移動した食事処では、なんと「のれそれ」が出ました。
「のれそれ」はアナゴの稚魚で、透明で、見た目はところてんに似ています。
食感はいかそうめんのようで、ちょっと不思議な歯ごたえあり。
高知では春を告げるお魚で、東京ではあまり食べることができないので、嬉しかった。
ポン酢と細ネギともみじおろしでいただきました。
「のれそれ」の語源は、調べてもハッキリしないのですが、生命力が強くて網の中で「のったり」「それたり」して残っていることから来ているのではないか、という説が有力です。
「のったりそったり」しながら、ゆるゆると生きていきたいですよね(笑)
4月9日の舞台から一週間。
制作にも関わりましたので、今回も楽しい小道具をいくつか手作りしました。
2つご紹介しますね。
ひとつ目は燭台。
『ドン・カルロ』で、王様の机に置いてあったやつです。
実際に火をつけちゃうとホールに許可取らないといけないので、演出の森先生が、蝋燭をドロドロにしてニセモノの炎をつけてくださいました!
私も蝋燭ドロドロには挑戦しようとしたのですが、完全燃焼してしまい、こんなふうにはならなかったんですよね。森先生、どうやったんだろう・・・。
LEDも考えたのですが、暗転時にタイミング良く一緒に消さないと光が残ってしまう、という欠点(?)があるんです。
燭台というのは、舞台では象徴的な役割を果たす大切なアイテムなので、これは保存しようと思います。
そして、もうひとつは望遠鏡。
『蝶々夫人』で礼砲が聞こえて、蝶々さんは望遠鏡で軍艦の名前を探します。
「名前は・・・名前は・・・エイブラハム・リンカーン号よ!」
感動のシーンです。
私が望遠鏡を手に取った時、会場のお客様の何割かは「たぶん、あれだな」と思ったことでしょう。
そう、賞状の筒に黒の画用紙を貼ったのです。
そして、レンズのところは家にあった化粧水の瓶のフタ。立体感がピッタリのものがあって、見つけたとき、テンションが上がってしまいました。
この望遠鏡は気に入っていて、持ち歩きすぎてちょっと傷んじゃったので、ふだんの練習ではサランラップの芯を使うべきでした。
このように、なんでも作るのは面白いのですが、謎の小道具たちがどんどん増えていき、そういうモノたちと一緒に生活している状態です。
断舎利の先生が見たら怒るな、絶対。
4月9日、「オペラ名場面コンサート」が無事に終了しました。
朝の鍵開けから始まって、夜更けの二次会まで、それはもう、くたくたになりましたが、おかげさまでとても良い公演ができたと思います。
ありがとうございました。
出演者、スタッフ、お客様、ホールの人たち、みんなに感謝したいです。
私が、「関係者全員がその日その場所に揃った時点で、8割成功と考えている」と言うと、「え~」ってよく驚かれるんですが、本当にそう思っているんだから。
今回は、オペラ1本全幕というわけでもなく、また、ハイライトというわけでもなく、部分的にストーリーを浮かび上がらせるような抜粋を集めたので、初めてのお客様にはわかりにくいのではないか、とずっと心配でした。
しかも、4本も見せるなんて多いよね、と思ったりして・・・。
しかし、そんなことは杞憂だったようで、お客様のほうがずっと気楽に、柔軟に、楽しんでくださったようです。
また、本番のテンションというのは不思議なもので、こちらもやりながら同時進行で役が理解できたりするんですよね。
終わりまして、ようやく花見をしようかという気持ちの余裕ができました(遅いけど)。
帰り道、渋谷の桜並木には道路いっぱいの花びらが敷き詰められており、その上からさらに、はらはらと舞い落ちておりました。
それを見てなぜか「拾わなきゃ」と思ったりして(笑)
「花の二重唱」で、花びらを撒いてはスズキと拾っていたもので。